プーチンは「自滅」へ。欧米のウクライナ戦車大量供与が世界を激変させる

 

これをゼレンスキーさんは確か300輛ほしいと言っていた。呼応するように、ポーランドとスペインが送りたいと言っていた。しかし製造国ドイツが許可を出さなければダメですよということでずっと留まっていた。ドイツ自身がレオパルト2を供与すべきか否かについて国内で議論があり、実際上グダグダしながら渋っていた。それが今回、アメリカも軍が持っているエイブラハムという滅茶苦茶重たい戦車、これを供与するという決定をして、同じ日にドイツもレオパルト2を出すと表明。これでポーランドやスペインも出せることになりました。また、名前は違いますが同じような能力を持ったイギリスのチャレンジャー。あるいはフランスのルクレール。これら全部戦車の名前なのですが、それが基本的なNATO軍の装備なわけですね。これが今の段階で、ウクライナ向けに百数十輛は確保されていると。凄い台数ですが、必要なのは300輛と言っていたのが正しいとすると、ゼレンスキーさんの言っていることが正しいとすると、まだまだ半分くらいということになりますね。

しかしこの供与はすぐではなく、時間が掛かる。新しく作って出す、あるいはウクライナの戦車兵に訓練をしなければならない。訓練は多分ドイツやポーランド、イギリスなどで行われるのだと思いますが、そのためにおそらく3ヶ月は掛かるだろうということです。となると、この先、おそらくはまずロシア軍が大攻勢を初めて、それをウクライナ軍が受け止めている間に戦車自身の供与が始まって…という展開になるのかなと思います。ロシア軍からしたら、そんな戦車にこられたら具合が悪すぎる。ロシアはなんとかウクライナへの戦車供与を妨害しようとするのではないかと思います。

そういう状態で、今、激しい戦闘が行われているのは東部のごく一部であり、南部、西部は比較的静か。南部で今何が起きているのか分からないのですが、膠着状態になっているのではないかと思います。

で、これ、戦後と言いますか、戦いが終わった後の社会を展望する上で色々なことがあると思うのですが、ドイツが戦車を出すことになりましたが、ドイツは、アメリカさんが出すならウチも出しても良いよということだったのかと思います。みんな、「最初」になりたくないというようなことがあるのですね。アメリカはロシアを刺激しすぎない方が良いと多分考えたのでしょう。ドイツはドイツで今もエネルギーをロシアに依存しているところがある。それを必死に回避しようとしているわけですが、少なくともあと1年くらいは依存しなければならない。

それからそもそも軍備の輸出、とくに攻撃的な兵器を他国にばらまくことに関して、国民的な批判が強い。さらに、誰かが言っていたことですが、ロシアはドイツの政治家に金をばらまいて手懐けていたのではないか、というようなことまで言われていた。とにかく、そのような、出したくない状態から、一気に出すことになった。フランスかイギリスとかアメリカとかは多分、本音から言うと出したいのだと思いますね。実際の戦闘に参加したことのある戦車って、チャレンジャーはないですし、ルクレールもない。それからレオパルト自身が実際の戦闘に参加したことはないはずですよね。これらの国々では、戦車が実際の戦闘に出てきた経験て、そんなにないのだと思います。

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