開戦1年目にロシア軍が再び首都キーウ侵攻か
東部にロシア軍は増援部隊を入れた、でもウクライナ軍の方が対抗してそこを死守するために増援部隊を送れるかというと、これはなかなか苦しくて、一つは例のミサイル攻撃があって、これに対応するために一定の兵力を割かなければならない。それからもっと大きいなと思うのはベラルーシの国境地帯に15万人くらいのロシア兵がいるそうですね。部分動員されたけれど前線に投入されなかった人たちで、ベラルーシ軍に訓練してもらって待機している。
そうすると、また1年前の2月24日のように首都キーウに向かってロシア軍が列を成して攻めてくるというようなことがあるかもしれないので、やはり一定数の部隊を備えておく必要がある。やはり東部に援軍は送りにくい。それはロシア側も計算ずくでやっていることなのだろうと思います。そういうのが見えてきてしまう。ゲラシモフが司令官になると、ロシアの正規軍だけではなくてドネツクとルガンスク、一応独立国の体裁になっているじゃないですか、そこの部隊、要はウクライナ人なんですが、その部隊を含めて、ロシア軍の統括の元に置くと。つまりロシア軍の一部に組み込むようなことをしたようですから、使える軍事的なリソースを全部一つにまとめて、ゲラシモフ氏が政治的軍事的目標を達成するために何をどう動かすか、一元的に決めているということでしょう。
徹頭徹尾ウソしか口にしないプーチン
ある意味当たり前だろうと思いますが、これまではロシア軍にやれていなかったことをケゲラシモフがやっている。変な言い方ですが、やっと戦争らしい戦争をする人たちになってきたという感じがします。でも滅茶苦茶焦っているのは、プーチンさんが「3月末までに」と時間を区切ったということが一つ、もう一つは西側諸国から供与される新しい戦車群、これが戦場に入ってくるまでに圧倒的な優位優勢を作っておかなければ、まあ、大変なことになるということ。この2点が理由で激しい攻勢になっているのだろうと思います。
しかし、考えてみると、そういう全兵力を動員してウクライナの重要な部分を切り取るということをやっているわけですよね。これ、誰がどう見ても「特別軍事作戦」ではないですよね。ごく普通に侵略戦争。勿論、最初からそうですし、そう見えていましたし、それに違う要素などほぼ無いに等しいわけですが、そのゲラシモフさんのようなやり方を使ってこれから戦争行為を行うということは、プーチンさんが最初にもうけた課題は嘘というか、そんなものどうでもよいということなのではないでしょうかね。これは最早「特別軍事作戦」ではなくなっているということを如実に示しているようにも思います。
(『uttiiジャーナル』2023年2月19日号より一部抜粋。全てお読みになりたい方はご登録ください)
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