「鶴の一声」で賃金上昇トレンドを作った岸田さん
「国民はお上のいうことに従う」もう一つの例を。
昨年は、ウクライナ戦争で食糧、エネルギー価格が暴騰しました。それで、インフレになった。日本のインフレ率は昨年12月、4%に達しました。日本国民は、相対的に貧しくなった。
そこで、岸田さんは年初、「インフレ率を超える賃上げをお願いしたい!」と要請しました。
他の国であれば、何の意味もない発言でしょう。しかし、日本国の場合、「働き方改革」「緊急事態宣言」がそうだったように、「とても意味がある」のです。
「ITmediaビジネスオンライン」2月28日を見てみましょう。
「岸田文雄首相が1月の経済3団体の新年祝賀会で「インフレ率を超える賃上げをお願いしたい」と要請したことを受け、日本の賃上げ機運が一気に高まりました。
「日本の賃上げの機運が一気に高まりました」だそうです。なんというすごいことでしょう。
そして、大企業が続々と「賃上げ」を発表し始めたのです。
イオングループが自社のパート40万人の時給を7%引き上げると発表しました。今年の春闘では5%が一つのラインといわれている中で、7%という数値は大きなインパクトがありました。(同上)
インフレ率4%で賃上げ7%なら、だいぶ楽になるでしょう。
実は、イオンに先立ってパート・アルバイトの時給を2割引き上げたのはユニクロを展開するファーストリテイリングでした。その後、イオンやオリエンタルランド(7%増)、任天堂(約10%増)など、大手企業が続々とパートやアルバイトの時給引き上げを発表しました。
最初の頃は「ユニクロだから時給を引き上げられるのだろう」程度に見ていた企業も、イオンやオリエンタルランドといったように身近で影響力のある企業が続々と賃上げを発表したことで、いよいよ本格的に賃上げに踏み切る必要に迫られています。
賃上げトレンドが形成されつつあるようです。
するとどうなるのでしょうか?インフレ率を超えて、実質収入が増える人たちが激増します。つまり所得が上がる。
所得があがれば消費が増えるでしょう。消費が増えれば、生産を増やす必要が出てきます。それがさらに所得増につながっていく。
図にすると、
- 賃上げトレンドによる所得増→ 消費増→ 生産増→また所得増→ また消費増→ また生産増→またまた所得増→ またまた消費増→ またまた生産増→ 以下同じプロセスの繰り返し
つまり「好景気スパイラル」に入っていく。
岸田さんは、「インフレ率を超える賃上げをお願いしたい」といった。その一言で、賃上げトレンドが形成された。賃上げトレンドが形成されれば、後は勝手に好景気スパイラルに突入します。
景気がよくなれば、岸田内閣が長期政権になる道が開かれるでしょう。