“偏愛”社員を生かす。ビックカメラ“マイスター制度”の顧客志向

 

【企業の実践事例】
この潜在ニーズを具体化して、実際に顧客サービスに活用している事例を紹介します。以下、日経MJ23年4月17日からの引用です。

ビックカメラは、22年9月に、「くらし応援マイスター制度」と呼ぶ、新たな人事制度を導入した。

 

専門知識を持つ現場の販売員に報いるのが狙い。販売実績や保有資格などの基準を満たせば、マイスターと認定し、店舗の各階を取り仕切る「フロア統括」と、同等の給与を支払う。

 

さらに、管理職である副店長や店長並みに、処遇される上級マイスターも新設を予定している。

このくらしマイスターの人たちは、単なる専門分野に詳しい人、というだけでなく、記事によると、耳を見ただけでぴったりなイヤホンを、お薦めできるオーディオ担当者とか、世界を飛び回って、自分で撮った自作写真集を、展示するカメラ担当者といった具合に、かなりニッチで“偏愛”に近い人たち、ということになります。この愛という表現がぴったりですよね。まるで「マツコの知らない世界」に出てくる方々のようです。

このビックカメラの専門性を持つ店員さんたちは、商品とサービスを提供するために、かなりニッチなエリアの専門的な知識を持っています。しかも、メーカーから派遣された社員と違い、幅広いメーカーの知識がある、ということも顧客にはメリットです。

彼らは顧客が購入する製品に関する質問に答え、商品を選ぶためのヒントを提供できます。また、顧客が商品を試すこともできるので、それが望むものであるかどうかを、事前に確認することができます。

家電製品の使い方以外にも、想定されるトラブルシューティング、接続などのやり方や、購入後のIT関連のトラブルなどにも詳しいので、事前に予測して、伝えることも可能ですよね。

なのでこのサービスは、顧客が「くらし」に関連するトラブルに直面した時に、迅速で効率的な解決策を提供することができる、といえます。顧客は、マイスターのサポートを受けることで、未然にトラブルや課題を解決することができるので、まさに「くらし」をより豊かにすることができるのです。

ChatGPTを使えば、それくらいできますよね、という声が聞こえてきそうですが、これを人が温かく、しかも愛情持って説明してくれたら、やはり買いたい、という気持ちは強くなりますよね。

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