アップル社の「高い要求水準」をクリア。CEOも訪問した福井県の企業とは

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要求する水準が高いことで有名なアップル社。その水準をクリアし、CEOの来日の際に訪問企業にも選ばれた福井県のとある企業があります。今回は、MBAホルダーで無料メルマガ『MBAが教える企業分析』の著者である青山烈士さんがそのアップルとのコラボ製品の販売の戦略と戦術を分析しています。 

2社によるコラボ。アップルウォッチ用バンド製造の井上リボン工業を分析する

今号は、アップルウォッチ用のバンドを分析します。

● 福井県越前市の細幅織物・編物の企業である「井上リボン工業」がアップル社に提供している「Apple Watch Ultra」用のバンド

昨年末の新聞に取り上げられました(井上リボン工業)

非常に要求水準の高いアップル社に対して、「独自の技術や情熱」支えられた「対応力」等の強みをベースに、アップル社との高度なコラボを実現し、差別化しています。
アップル社のCEOであるティム・クック氏が来日した際に、アップル社の製品に関わる国内企業約1,000社の中から訪問企業に選ばれたことで注目を集めた。

■分析のポイント

ユーザー向けの最終製品を作るメーカーと部品メーカーとの関係性は、「発注する側」と「発注される側」となりますので「発注する側」が要求したものを、「発注された側」が作るという形になります。

ですので、「要求する側」と「要求に応える側(サプライヤー)」という図式になりますね。

発注された側が、高い要求の仕事を受けたのであれば、自社の能力を最大限に発揮して応えることになるでしょう。

そして、自社の能力を超えるような要求は受けない、というか受けられないはずです。

「アップル社」は高い要求を出すことで有名ですが、「井上リボン工業」のように優れた技術を持ってしても、困難な要求であったようです。

「アップル社」の要求に最初から完璧に応えられる企業の方が少ないのかもしれませんね。

今回のポイントは2社によるコラボレーションです。

1+1=2 では、単なるコラボレーションですが、アップル社が求めるのは、1+1=2 以上のものでしょうし、2社で組むことで、世の中にないレベルのものを創出することを目指しているように見えました。

そこを目指す場合、「要求する側」と「要求に応える側」という関係では、難しいのだと思います。

だからこそ、「アップル社」は、コラボレーションにこだわっているのでしょう。「アップル社」だけで作れないのは、当然として、「アップル社」がサプライヤーに、ただ要求を出すだけでは、「アップルウォッチ」は完成しない、とうことです。

「アップル社」は、多くのサプライヤーと共同で仕事を進める中でコラボ相手の能力を評価する力とそのコラボ相手の潜在的な能力を引き出す力を蓄積してきたのだと思います。

恐らく、「井上リボン工業」は、自社だけの力では「アップル社」を満足させるレベルのモノは作れなかったでしょう。

「アップル社」が、「井上リボン工業」の力を引き上げたと思いますし、それだけ、「井上リボン工業」に潜在的な力があった、ということでもあります。

潜在的な力があっても、無理だと思っていたら、何も成し遂げられないと思いますが、情熱を大切にされている「井上リボン工業」だったからこそ、双方が満足できるレベルのモノを作ることができたのではないでしょうか。

「アップル社」のCEOであるティム・クック氏が来日した際に、「アップル社」の製品に関わる国内企業約1,000社の中から訪問企業として「井上リボン工業」を選んだ理由は、コラボレーションの成功例として世の中に示したい、という思いもあったように思います。

今後、「井上リボン工業」はもちろん、「アップル社」とのコラボがどのような形になって世の中に示されるのか注目していきます。

 

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