長く対立状態が続く米中両国。そんな中にあって、アメリカに密入国する中国人が激増している事実をご存知でしょうか。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、さまざまな報道を引きつつその実態を紹介。さらに今後日本への密航も増えると予想し強い警戒を呼びかけています。
※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2023年5月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。
スパイか、集団犯罪目的か。激増のアメリカに密入国する中国人
オーストラリア放送協会(ABC)は、中国人のアメリカへのビザ取得が困難なことや、これまでのゼロコロナ政策による都市閉鎖が中国経済を直撃したことなどから、アメリカに密入国する中国人が激増し、昨年10月以降、前年同期比15倍となる6,500人以上が国境を越したと推定されると報じました。
以前、アメリカに出国することは「中国人の夢」でした。共産党高官ですら、妻子と不正蓄財を海外に逃し、自らは中国で汚職にいそしむという「裸官」が大量にいました。しかし、米中対立によるアメリカ側の中国人受け入れの制限に加え、新型コロナの流行で、中国からの入国は非常に厳しい状況になっていました。
各国で新型コロナによる移動制限が大きく緩和されましたが、依然として中国人のビザ発給には制限があります。
アメリカ国務省によると、中国人のアメリカ観光ビザ却下率は2021年度には80%、2022年度には30%以上に達し、この2年間は間違いなく過去最高を記録しているとのこと。アメリカでのビザ発給数が徐々に流行前の水準に戻ったとはいえ、昨年の中国人へのビザ発給数は流行前に比べて90%も減少しています。
留学生にしても2019年から2022年にかけて中国人留学生へのビザ発行数は50%以上減少しているそうです。
こうした状況にあるため、アメリカへの密航を試みる中国人が激増したわけです。
冒頭のニュースでは、メディアのインタビューに答えた人たちは皆、TikTokなどのSNSでアメリカへのルートを知り、ルート計画に役立てたと告白しています。
例えば、シングルマザーの呉麗華さんは、TikTokでアメリカへのルートの作り方を説明した投稿を見たことで密航を決意、旅行前にSNSで、どんな靴を履くか、信頼できる現地ガイドの見つけ方、支払い額など、詳しいヒントを見つけたといいます。
ところが密航を実施した彼女と5歳の娘は、今年4月にアメリカとメキシコの国境付近の岩場で、アメリカの国境警備隊に逮捕されました。
ロイターが取材した中国人密入国者の約半数は、もともと中国で中小企業の経営者だったといい、電子商取引事業や羊牧場、映画製作会社などを経営する者もいたそうです。本国での経営が厳しくなって、アメリカへやって来ているケースが多いようです。
この記事の著者・黄文雄さんのメルマガ