世界のトヨタは周回遅れ。「EV特許」をオープンソース化したテスラの狙い

 

ディーラー向けに公表した資料「なぜトヨタは電気自動車を積極的に売らないのか」が流出し、その理由に批判が集まるなど、EVでの周回遅れが否めないトヨタ自動車。一方で、イーロン・マスク氏率いるテスラは「EV特許」をオープンソース化する余裕っぷりです。一体、どこに差があるのでしょう? 今回、Windows95を設計した日本人として知られる世界的エンジニアの中島聡さんが、メルマガ『週刊 Life is beautiful』にて、批判を浴びたトヨタの資料に言及するとともに、特許をオープンにしたマスク氏の狙いについても解説しています。

【関連】ChatGPTで「君、クビね」続々。AI失業の米国最新事例とは?Windows95の父・中島聡がAuto-GPT、BabyAGIを「今すぐ使え」と叫ぶ訳

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

私の目に止まった記事:トヨタ自動車のディーラー向け「電気自動車を積極的に売らない理由」が流出し批判の的に

●This Is Why Toyota Isn’t Rushing to Sell You an Electric Vehicle

https://jalopnik.com/toyota-focusing-on-hybrids-not-electric-vehicles-1850440908

トヨタ自動車が、ディーラーに向けて提供した「なぜトヨタは電気自動車を積極的に売らないのか」を説明したドキュメントが(当然のように)リークして、批判の対象になっています。トヨタが理由として上げたのは、

・電気自動車を大量生産するのに必要な電池(および必要な素材)が調達できない

・充電インフラが整っていない

・電気自動車は高価なので、一般の人には購入できない

の三つです。

十分な電池の調達が出来ないのは、トヨタ自動車が必要な投資をしてこなかったからであり、電池のギガファクトリーを複数作っているTeslaと比べて周回遅れなことが明確です。

公共の充電インフラが整っていないのは事実ですが、だからこそTeslaは自分自身で、スーパーチャージャーのネットワークを世界中に築いて来たわけで、ここでもElon Muskの「先を読む力」との差が際立ちます。

電気自動車の値段に関しては、電池の大量生産により差が縮まっており、燃料はメンテナンスコストを加えたTOC(Total Ownership Cost)で既に、ガソリン・ディーゼル車を下回っています。

Teslaは、ギガプレスなどの最新の技術でさらに製造コストを下げており、トヨタの電気自動車が高価なのは、トヨタが必要な投資をしてこなかったからです。

この記事の著者・中島聡さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 世界のトヨタは周回遅れ。「EV特許」をオープンソース化したテスラの狙い
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け