「これはいける!」と思った商品のことを端的に語るのが難しいワケ

Shutterstock_1334787761
 

良いモノやサービスを作ったのでその良さを多くの人に知ってもらいたい。ところが上手に説明するのは意外と難しいと感じている人が多いようです。その手の相談をよく受けると語るのは、メルマガ『前田安正の「マジ文アカデミー」』著者で朝日新聞の校閲センター長を長く務め、ライティングセミナーを主宰する前田安正さん。説明が困難になる原因として「アイデアの水ぶくれ」を例にあげて“何が売りか”見えなくなる過程を解説しています。

商品とストーリー 文章コンサルタントという仕事

最近、よく依頼を頂戴するのが、商品のストーリーづくりです。「商品やサービスの販路を拡充したい。もっと知ってもらいたい」事業主であれば、当然の思いです。

「それでは、その商品とサービスの内容について教えてください」と質問すると、うまく答えられないことが多いのです。それは、「あなたについて教えてください」という質問にしっかり答えられないのと同じことかもしれません。

自分のことや自分が手がけていることについて、端的に答えるのは、かなり難しいのです。「これはいける!」と直感的に思い、行動力でそれを事業化することは、事業家なら比較的たやすくできるのです。ところが、なぜ「これはいける!」と思ったのか、それが語れないのです。

「いいと思ったから」という素直な気持ちは理解できます。しかしそれは、生産者側の考えです。それを消費者側に届くように考えを転換させなくてはなりません。

「これはいける!」と思ったのは、商品・サービスの利点を嗅ぎ取ったからに違いありません。言い換えれば、消費者が求めているものを具現化できる商品・サービスであることを見抜いたからです。にもかかわらず、それを説明できないのです。なぜか。

アイデアは、水ぶくれする

面白いことに、初めに「これはいける!」と思った事業に、あれもこれもと自らオプションをつけて、水ぶくれしてしまっていることが多いのです。そのため、商品・サービスの(よく言えば)売りが増えすぎて、もともと消費者に提供しようと思っていたものが、見えなくなってしまうのです。

たとえば、品質のいい小豆を見つけて、直感するのです。これだけ質のいい小豆なら、上品な味の大福をつくれば売れる!すると、普通の大福とは違うものをつくろうという欲が生まれます。

これに美味しいイチゴを入れれば、絶品のイチゴ大福ができる。さらに、大福の周りを美味しいチョコレートでコーティングすれば、洋風のイチゴ大福になる。それなら、生クリームでデコレーションして、栗をギュッと絞りだした素麺状の仕上げにすれば、スイーツの玉手箱やぁ~。

まさか、こんなことにはならないでしょうが、商品・サービスの一つの比喩として考えてください。

この記事の著者・前田安正さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 「これはいける!」と思った商品のことを端的に語るのが難しいワケ
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け