消えてゆく「仕事の匂い」。最古の総合週刊誌『週刊朝日』休刊に思う“汗と涙の喪失”

 

お天気の世界だけではありません。以前、建設関係のお仕事をしている方が、「図面を書かなくていい時代になって明らかに使えない新人が増えた」と嘆いていました。いわく「図面を見て、自分で書き写すだけで色々なことを学べる」のだと。その方自身、「書き写す仕事」があったからこそ、考える力、問題を解決する力、創造する力が身についていったそうです。

「手で書く」という一見なんでもない作業が、点と点をつなぎ、知識を深め考える力を高める。そもそも人類が生き残る過程で身につけたのが「手で書く」作業なのですから、それをしなくてもいい時代というのは、「人間の本質」を危うくさせているように思えてなりません。

自分の「手で書く」という行為は、脳を活性させることはコンセンサスが得られていますし、最新の研究では言語や認知能力の発達にまで影響をあたえることもわかってきました。

また、書く行為にはカタルシス効果がありますから、心のモヤモヤを書き出すことはストレス対処にもつながります。私が大学院時代に開発したストレスマネジメントプログラムでも、「モヤモヤメモ」(←河合薫オリジナルです)を利用すると、ストレス対処力の向上が認められました。

とまぁ、週刊朝日の廃刊の話題からカタルシス効果までと、少々飛躍してしまいましたが、「紙と鉛筆」は、私たちが想像する以上に、人間的で。101年の歴史に幕がおりたという事実は、人間の本性をゆるがす節目になるかもしれません。
今後101年後の「私」たちは、今を生きる「私」とは違う「私」なのか?どんな「私」なのか?

101年後の日本を見届けることは、私にはできませんが、こんな時代だからこそ、「手で書く」を大切にしたいです。

みなさんのご意見お聞かせください。

ちなみに1994年に「気象予報士第一号」として、ニュースステーションに出演し、毎日のように雑誌の取材が相次ぎ、週刊朝日さんにもお世話になったことがありました。残念ながら、何のコーナーだったか記憶にないのですが、女子大生グラビアじゃなかったことだけは確かです!(苦笑)

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