中国経済界の明と暗。国産ジェット就航と20%超の若者の失業率問題

 

国産ジェットの開発が国内産業の力の結集であることは言うまでもない。日本では今年、三菱重工業が2008年から15年間取り組んできた国産ジェット開発計画を正式に断念したばかりだ。

中国が国産旅客機の開発を始めたのは2007年のことだ。20以上の省・市から1000を超える企業・事業体が集結し、30万人に上る選抜チームが組成されて開発にかかわってきた。

100万点を超える部品を扱う旅客機の製造は、それ自体がハイテク技術の集積で、そこで磨かれた技術は他産業への波及効果も大きいと期待される。現状で受注数も1000機を超え、順調なスタートを切ったようだ。

ただフランスのテレビが「転換点」と表現したのには別の意味もある。ボーイングやエアバスが寡占していた世界に、いよいよ中国が大穴を開ける効果があるからだ。そのためかC919を扱った欧米や韓国のメディアでは「西側への依存度を減らすための大きな一歩」といった表現も目立った。

もっとも国産旅客機C919の製造には西側先進国の多くの部品が不可欠であり、中国側にも「脱依存」の発想はないのが現実だ。そのことは以前の本メルマガでも書いた。いわんや直ちに西側不要論に結び付くような話ではないのだ。ただC919が世界の航空産業に一石を投じたことには変わりなく、その意味で大きなブレークスルーであることは間違いない。

転換点という意味では、中国発の話題はこれだけではない。このところC919と並んで中国メディアを盛り上げたのは、中国の自動車輸出大国への転換である。電気自動車(EV)の躍進が中国を世界最大の自動車輸出国に押し上げたというニュースだ──
(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2023年6月4日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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