すでに終焉した中国の高成長。習近平が「覇権国家の元首」になれない訳

 

そしてもう一つ。日本、ドイツ、アメリカ、オーストラリア、フランスは、「反中包囲網」の「チーム」です(「一枚岩」とはいえない状況ではありますが)。日独米豪仏が東南アジアに投資すれば、それだけ中国と東南アジアの関係が薄くなります。

では、中国の対東南アジア投資額は、なぜ減っているのでしょうか?

中国の劇的な投資減は海外における優先順位の転換を反映するものではない。東南アジアは地理的に近く、貿易ルートそして国防の観点からしても中国にとって極めて重要であることに変わりはない。また、マレーシアのように中国の「一帯一路」構想への関わりに消極的な国もあるが、東南アジアの国々が中国マネーから一斉に目を逸らしたわけでもないだろう。むしろ、中国が投資を控えていることは、中国が経済と金融の問題を抱え込んでいることを改めて示している。最近のデータが入手できるようになっても、中国の投資が戻っている可能性は極めて低い。

中国が投資を控えている理由は、「中国が経済と金融の問題を抱えこんでいることを示している」

そうです。しょっちゅう書いていますが、中国は、

  • 国家ライフサイクルで、高成長の「成長期」から低成長の「成熟期」に入っている
  • 人口が減少し始めている
  • 習近平は、奇跡の経済成長を成し遂げた鄧小平を軽蔑し、「大躍進政策」で経済を破壊した毛沢東を信奉している。そのため、「マンションは住むもので、投機するものではない」など、経済音痴な言動で中国経済を破壊している

この3つの理由で、もはや高成長時代は戻ってきません。

中国のパワー、影響力の源泉は、「チャイナマネー」です。しかし、東南アジアの例を見てもわかるように、中国経済の問題で、ばらまけるチャイナマネーの量が減少している。それで、中国は覇権国家になれないのです。

(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2023年7月4日号より一部抜粋)

image by: Naga11 / Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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