保険金の不正請求や不適切な除草剤使用問題に揺れるビッグモーター。なぜ現場の社員たちは、このような「悪事」に手を染めるに至ったのでしょうか。今回のメルマガ『ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)』では著者の伊東さんが、同社の「団塊ジュニア企業的体質」を問題視。さらに日本からブラック企業が駆逐されない理由を探るとともに、タレントがCMに出演するリスクについて考察しています。
プロフィール:伊東 森(いとう・しん)
ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。
ビッグモーターにセブンイレブン。なぜ「団塊ジュニア企業」は相次いで不正を起こすか
中古車販売大手ビッグモーター(東京)の兼重宏行社長は25日、東京都内で記者会見を開き、26日付で辞任をすると発表した、自動車保険の保険金不正請求問題をめぐり、責任を取った形だ。
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兼重社長は記者会見で、同社の不正を初めて認識したのは6月下旬に特別調査委員会がまとめた報告書であるとしている(*1)。
報告書では、2018年ごろ、板金部門の担当本部長(当時)が車両部門の工賃や部品交換で得られる利益の合計額を「@(アット)」と呼び、工場の現場にそのノルマの達成を厳しく迫った様子が記されている。
1台当たりのアットの平均目標は約14万円とされ(*2)、報告書では、
「修理工場は車両の損傷状況で決まるので工場の営業努力で大きく上下しない」(*3)
と指摘、不合理なノルマ設定であったと厳しく断じている。
また従業員らへのアンケート結果によると、382人のうち104人(27.2%)が自ら不正な作業に関与したと回答。不正な作業が行われた原因(複数回答)としては、
「会社が売り上げ向上を最優先としていた」(68.3%)
「上司からの不正な指示に逆らえない雰囲気があった」(43.7%)(*4)
などとする項目がつづく。
工場内での不正について、毎日新聞が取材したところ、2019年ごろに関西地方の店舗に勤務した50歳に男性は、
「日常的に修理費が水増しされた」(*5)
と証言。
男性によると、店舗に併設された整備工場の廃棄物置き場には、壊れたヘッドライトやバンパーなどの部品が山積みになっていた。
そして事故車が持ち込まれると、工場の整備士が車両の破損していない部品を廃棄物置き場の破損部品と付け替えたうえで写真を撮影し、「修理が必要」と報告した様子を目撃したという(*6)。
目次
- ビッグモーターのみならず。不正が相次ぐ「団塊ジュニア企業」
- 駆逐されない日本のブラック企業
- 「広告塔」佐藤隆太も同罪。CM出演がタレントにもたらすリスク
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