原資は税金。河井メモ「安倍スガ二階甘利」で判った大規模買収の汚いカネを工面した面々

ak20230914
 

2020年、当時現職議員だった河井克行・案里夫妻が共に逮捕・起訴され大きな話題となった、参院選広島選挙区の大規模買収事件。その捜査過程で事件の真相を物語るメモが押収されていた事実が、地元紙で大きく報じられました。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、安倍政権の中枢から6700万円もの現金が河井陣営に渡っていたことを「証明」するメモと、中国新聞の記事内容を紹介。さらに事件を巡るカネの流れの調査を命じることが可能な立場につきながらも、一向に手を付ける素振りを見せない岸田首相の姿勢を疑問視しています。

安倍政権の中枢から「6700万円」もの現金。河井メモが物語る大規模買収の真相

河井克行元法務大臣と妻、案里氏(元参院議員)による参院選広島選挙区(2019年)での大規模買収事件は、すでに二人の有罪が確定し、克行氏は服役中である。

だが、本当の意味で、この事件は解決したといえない。1億5000万円もの破格の選挙資金が自民党本部から河井陣営に振り込まれたことについて、誰の指示だったのか、どんな使途に使われたのかが明確になっていないからだ。

しかも、謎の資金提供は、ほかにもあった。それ以外に6700万円が現金で渡されていたことをうかがわせる「総理2800 すがっち500 幹事長3300 甘利100」のメモが河井氏の自宅から押収されていたことが、最近の中国新聞の報道でわかったのだ。

下記は、中国新聞デジタルの記事(9月8日)の一部だ。

メモはA4判。上半分に「第3 7500万円」「第7 7500万円」と書かれ、それぞれ入金された時期が付記されている。その下に「+(プラス)現金6700」と手書きで記され、さらにその下に「総理2800 すがっち500 幹事長3300 甘利100」と手書きされていた。

これを重要メモとみるのは、克行氏の自民党広島県第三選挙区支部に7500万円、案里氏の党広島県参院選挙区第七支部に7500万円が19年の参院選前に振り込まれ、それにプラスして、「総理」から2800万円、「すがっち」から500万円、「幹事長」から3300万円、「甘利」から100万円、4人分合わせて6700万円が現金で提供されたと読み解くことができるからだ。

言うまでもなく、現金を提供した4人は、当時の安倍晋三首相、菅義偉官房長官、二階俊博幹事長、甘利明党選挙対策委員長をさすに違いない。だとすれば、1億5000万円以外に、6700万円が安倍政権の中枢から河井陣営に渡っていたと推定できる。

党本部からの1憶5000万円は、うち1億2000万円が政党交付金で、あとの3000万円が党本部の自主財源だったとすでに報じられている。

しかし、現金渡しの6700万円については、安倍氏ら4人と克行氏の政治団体や政党支部の政治資金収支報告書に記載されていない。公選法違反や政治資金規正法違反に当たる可能性もあると、記事は指摘しているが、検察がこれについて捜査した形跡はない。

そのために、事件の全貌が見えない。河井夫妻だけが悪いのではあるまい。誰が何の目的で多額の資金を提供し、夫妻を買収に駆り立てたのか。それをつかまなければ、単なるトカゲのしっぽ切りであり、事件の本質にたどりつくことはできない。

中国新聞は亡くなった安倍氏をのぞく3人に、この件に関する直撃取材を敢行している。甘利氏は選対委員長として党のカネを届けたこと、他の候補者へも一律に持って行ったことを認めたが、二階氏と菅氏は資金提供そのものを否定した。

二階氏は、「幹事長には党の政策活動費が支給される。党勢拡大の名目で河井氏側への現金提供はないか」との問いに、「全然記憶にないねえ」と答え、1億5千万円について「二階さんが決めたのでは」と問われ、「そんなことするわけないじゃない」と打ち消した。

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