人気も人望もなし。それでも“ドリル優子”が初の女性総理を目指すべき理由

2023.09.22
 

旧統一教会と関係のあった議員を積極的に起用した意図

岸田内閣を支えてきた「三頭政治」は継続となった。党内最大派閥である「安倍派」はどうか。安倍元首相暗殺事件後、安倍派の会長ポストは不在となっている。結局、萩生田政務調査会長、世耕参議院幹事長、松野官房長官、西村経済産業大臣、高木毅国会対策委員長の「5人衆」を中心とする15人の合議制では派閥を運営する体制となった。100人を超える大派閥をまとめるには、誰もが「帯に短したすきに長し」で力量不足ということだ。

「政敵は閣内に、味方は党に」の鉄則からいえば、閣内と党に5人組をバランスよく配置した。安倍派の5人衆は、統率力は疑問だが、実務能力は高く評価されてきた政治家だ。敵同士がそれぞれ実務で業績を挙げることを競い合う形で、結果として岸田首相に求心力が向く。逆にいえば、安倍派内では遠心力が働き、まとまりを欠いていく仕掛けだ。安倍派は今後、分裂の可能性も含めて、少しずつ衰退していくだろう。

安倍派の5人衆の中で、特に注目されるのが、萩生田政調会長の留任だ。安倍元首相の側近として、政策実現のために汚れ役も厭わない腕力の強さで叩き上げた政治家だ。

今回の人事では、官房長官就任が検討されたようだ。だが、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との深い関係が厳しく批判されてきた。官房長官は連日記者会見がある。メディアから教団の問題を必ず追及されると懸念された。結局、政調会長への留任となった。

しかし、政調会長の留任も、旧統一教会の問題と関係がある。岸田内閣は、10月中に教団の「解散命令」を東京地裁に請求する方針を固めた。そして、自民党は「旧統一教会との関係を完全に切った」と主張している。

私は、2022年に旧統一教会の問題が社会問題化した当初から、岸田内閣は解散命令を下すしかないと指摘してきた。厳しい世論の批判を抑えるには、他に方法がないからだ。慎重な段取りを踏まねばならないが、結論は最初から決まっていたと思う。

一方、私は、自民党は旧統一教会と関係を切れないとも主張してきた。選挙など日常の活動を通じて、国会議員から地方の首長、議員、スタッフまで、関係が深く、複雑すぎるのだ。だから、岸田内閣が「解散命令」を出しても、表面的なことにすぎない。

反共産主義で保守的な思想の旧統一教会が、野党を支持することはない。選挙では自民党以外には投票しない。表面的に関係を切っても、旧統一教会が、自民党を「勝手に投票する」のを、自民党側が拒む理由はないのだ。

自民党は「旧統一教会との関係を完全に切った」と主張するならば、旧統一教会との関係を理由に萩生田氏を政調会長から外したら、その主張と矛盾する。萩生田政調会長を続投させるしかなかったともいえるのだ。

また、今回の人事で、いずれも初入閣の鈴木淳司総務相、盛山正仁文部科学相、伊藤信太郎環境相、木原稔防衛相が、昨年実施した自民党の点検で旧統一教会との接点を認めている。特に、盛山文科相として解散命令請求などの教団への対応を所管する立場だ。だが、岸田内閣は「旧統一教会との関係を完全に切った」のだから起用には何も問題がないということだろう。むしろ、旧統一教会との関係断絶をアピールするために、関係のあった議員を積極的に起用したとさえ、いえるのかもしれない。

文春砲を激しく浴び続けながら、官房副長官から幹事長代理・政調会長補佐の兼務への異例の配転となった首相最側近・木原誠二氏もいる。今後、岸田内閣の頻発するスキャンダルへの対応は、「なにも問題はない」と開き直り、何の説明責任も果たさず、強行突破するというものになるのだろう。

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