転売ヤーのカモになる?3月開始の東京都「QR決済で10%還元」にネット騒然も「上限3千円ショボい」の声、中抜される9億円はどこへ消えるのか

2023.12.07
by kousei_saho
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税金の無駄遣いに終わるのか、はたまた貧乏人の救世主となるのか。東京都は6日、消費喚起策として都内の店舗でQRコード決済を使い買い物をした人に、1回の決済につき最大10%(上限3,000円分)のポイントを還元する事業を、来年3月に開始すると発表した。現在開かれている都議会第4定例会に提出予定の12月補正予算案に、100億円を計上するという。このニュースが報じられると、ネット上は「儲かる」「財布に優しい」とザワついたが、果たして本当にお得なのだろうか?

早くも効果に自信を見せる小池百合子都知事

東京都が6日に発表した事業の正式名称は「暮らし向き向上緊急サポート事業~経済活性化支援~」で、物価高騰の影響を受ける都民を支援するため、QRコード決済で支払った金額の10%をポイント還元。その上限は1つの決済サービスにつき3,000円分のポイントで、都内のコンビニやドラッグストア、飲食店の他、宿泊施設や美容院も対象になるという。

事業費は100億円。このうち事務費9億円を除いた91億円が利用者に還元されるシステムで、令和6年3月に開始し、原資の91億円がなくなり次第終了になるという。小池百合子都知事は記者団に対して「非常に景気の刺激にもなりますし、何よりも都民の生活を守ることにつながっていく」と述べるなど、効果に自信を見せている。

転売ヤーの餌食となり1日で事業終了の可能性も

しかしここで懸念されるのが、転売ヤーらによる大量買い占めによる「ポイント総取り」だ。1回の決済での還元ポイント上限は3,000円分と決められてはいるものの、「決済回数」に制限は設けられていない。これでは一部の「プロ」にポイントを大量に奪われ、事業自体が1日で終了するという事態も起こりうる。転売ヤーが家電量販店で転売商品を大量購入する様子を思い浮かべる向きも少なくないだろう。

SNSには「3万円を1日4回決済すれば1万2,000ポイントも手に入っちゃうの?」と、早くも猛スピードで予算が尽きることを予感させるような投稿もポストされているのが現状だ。

「中抜き」の事務手数料9億円は誰に支払われるのか

さらに引っかかるのが、この事業の事務手数料として計上されている「9億円」という大金だ。東京都が、どこの誰に何を頼むかは不明だが、総事業費の1割にあたる9億円もの税金が業者に支払われるのだ。ネット上で「また中抜きか」「こんなのより消費税減税しろ」といった不満が多数投稿されるのもさもありなん、である。

あの街のキャッシュレス決済の二の舞いにはならないか

キャッシュレス決済で思い出されるのは、東京都八王子市の地域通貨「桑都(そうと)ペイ」のトラブルだ。今年10月18日からチャージ可能となる予定だった同サービスだが、9,000円分を上限にチャージ金額の30%のポイントが還元されるキャンペーンを実施していたためか、運用開始直後からアクセスが集中しチャージ不可状態に陥ってしまったのだ。

予定されている東京都の「QR決済10%還元」も、多くのユーザーが一斉に決済することが目に見えている。となれば、事業開始初日から各種ペイに繋がらなくなるといったトラブルは考えられはしないか。

東京都が自信満々で発表した「QR決済10%還元」だが、スマホを持っていることが前提となっている上に、QR決済自体を利用していない人にとってはなんの恩恵もない。さらに「上限3,000円」は果たしてお得なのかという疑問や、上述の通り事業開始後瞬時にサービス終了となる可能性も残されている。なによりも、神宮外苑周辺の樹木伐採や少子化対策など、QRの他に「白黒はっきりさせるべき課題」が多いように思われてならないのだがいかがだろうか。

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