「ふと気づけば第三次世界大戦」2024年危機に本気で備え始めた指導者たち

 

ロシア・ウクライナ戦争~プーチンに秘策あり?

今年の2月24日でロシアによるウクライナ侵攻から3年が経過しますが、その日までにロシアとウクライナの戦争が終結する可能性は非常に低いと思われます。 2023年末にロシア軍による大規模ミサイル攻撃により、首都キーウを含む複数都市が大きな被害に見舞われ、再度、ウクライナ国民に恐怖を刻み込みました。発射されたミサイルの多くをパトリオットミサイルなどの防空システムが撃墜したという楽観的な報道もありますが、それでも150~200発のミサイルがウクライナに着弾したという情報が入っています。 年末にロシアが行ったこのミサイル攻撃が意味するものが、戦略のアップグレードなのか、単なる変更なのか。それとも“花火”代わりのものという位置づけなのか?または、ロシアによる最後の足掻きなのか。いろいろな情報や分析結果を見てみても、これだという判断は難しいのが実情です。 このミサイル攻撃の後、プーチン大統領は国民に向けて自信たっぷりに成果についてアピールし、ロシアによる特別軍事作戦は成功すると断言していますが、少しの誇張はあるとしても、何か秘策でもあるような口ぶりはとても気になる兆候を示していると思われます。

ロシアがNATOに仕掛ける罠

ミサイル攻撃後、ウクライナ軍はロシア領内に向けたミサイル攻撃を加え、病院や教会、市庁舎などを破壊しましたが、ロシアはそれを脅威としてではなく、チャンスとして捉えているようにも見えます。 ロシア政府は「これはウクライナによるテロ攻撃というよりは、その背後にいる欧米諸国がウクライナという駒を用いて、ロシアに攻撃を仕掛ける証」と意味深な発言をしています。 以前、このコラムでも「ウクライナの後ろ盾となっている欧米諸国とその仲間たちが恐れているのは、ウクライナがやけっぱちでロシアに対して攻撃を加えることで、ロシアがそれをロシアの国家安全保障へのNATOによる挑戦というラベリングを行うことで、必然的にロシアとウクライナの紛争にNATOを巻き込む事態を招くこと」だとお話ししましたが、今回のウクライナによる対ロミサイル攻撃を受けて、プーチン大統領が繰り返してきた「この戦争はウクライナが相手なのではなく、ウクライナの背後でウクライナを駒として使ってロシアに攻撃を仕掛けるNATOであり、ロシアはその陰謀に立ち向かうために、欧米の駒であるウクライナを取り戻すのだ」というこじつけの信憑性が、国内で高まりつつあることは、要注意事項であると考えます。 今すぐロシアとNATOの戦いが始まることはないと考えますが、今後、NATO諸国がどのようにウクライナを処するかによっては現実味を帯びてくる可能性は否めないと考えます。

ゼレンスキーは「一人負け」の可能性

幸か不幸か、このフロントでは、アメリカ国内での政治的な対立の具に“対ウクライナ支援の継続の可否”が挙げられ、欧州各国も対ウクライナ支援を遅らせたり見直したりする動きが目立ってきているため、ウクライナとゼレンスキー大統領にとっては不幸な結果にはなりますが、ロシアの企みを潰すきっかけにはなるかもしれません。 支援が途切れ、反転攻勢が行き詰まり、ウクライナ国内でゼレンスキー大統領に対する支持が降下し、逆に反ゼレンスキー勢力が拡大するような事態になったら、ゼレンスキー大統領とその側近がやけっぱちでロシアに対して捨て身の攻撃を仕掛けるような事態に発展するかもしれません。 NATO諸国にできる現実的な貢献がこの先あるとすれば、支援の先細りは避けられないとしても、ウクライナ、特にゼレンスキー大統領がやけっぱちでロシアに攻撃を仕掛ける事態を未然に防ぐことかと考えます。具体的にどうするのかは分かりませんが。 現状を分析してみると、残念ながらウクライナにとってはあまり望ましい状況にはならず、かといってロシアを一気に利するような状況にもならないと思われるため、この戦争もまた先の見えない消耗戦の様相を示しています。

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