横浜駅徒歩1分の立地でも昭和を変えない「珍味好き」が集まる店

Yokohama,,Japan-june,17,,2020:,A,View,Of,The,Yokohama,Station
 

豚の頭や舌などの部位を食べながら「やかん」から焼酎を注いで飲む。都会にありながらも、そんな雰囲気の昭和な居酒屋が今日もにぎわっています。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者、佐藤きよあきさんが、その人気の秘密を探ります。

高度成長期の安酒場、いまも健在!豚の珍味で焼酎を飲る

そこは、まるで高度成長期の酒場。

仕事を終えた労働者たちが、安い酒を飲み、語り、笑う場所。

まさに昭和前期の光景を現代でも見ることができます。

都市開発の進む、横浜駅徒歩1分という場所にありながら、古き良き時代を守っているのか、はたまた、取り残されたのか。

歴史のある飲み屋街の中でも、このお店は少し特殊で、ある種のマニアたちが集まっています。

お店の名は、「豚の味珍(まいちん)」。

店頭に掲げたメニューには、「豚の頭」「舌」「足」「胃」「尾」の文字と写真が。

豚本体の肉は扱っていません。

まだ豚肉の高かった時代に、安い部位を美味しく食べられるよう調理して、安く提供していたのでしょう。

その名残りのままに、現代まで続いてきたのです。

これらの部位を丁寧に下処理したのち、醤油ベースの秘伝の和風ダレでじっくり煮込んでいます。

2日間掛けて仕上げているそうです。

長時間煮ることで脂を煮出し、臭みを取り除いているのです。

なので、やわらかく、奥深い味わいのみが残っています。

そのままでも充分に美味しいのですが、お客さまは、ねりがらしを酢で溶いて、少量の醤油を足したものにつけて食べます。

これが、このお店の正統な食べ方です。

好みで、ラー油やおろしニンニクを足したりします。

激シブな昭和的食べ方です。

これをアテに、中国の酒器らしき、通称「やかん」から注がれた焼酎をストレートで飲ります。

いまどき、焼酎をストレートで飲む人も少ないのですが、それがこのお店のスタイルなのです。

この焼酎に、カウンターに置かれた「梅シロップ」を入れるのも定番です。

アテは他にも、「辣白菜(ラーパーサイ)」と言われる白菜の甘酢漬けや「腐乳(フニュウ)」と言われる発酵豆腐、「皮蛋(ピータン)」「くらげサラダ」「牛すじ」「牛もつ煮込み」「馬刺し」など、なかなかクセの強いものばかりが揃っています。

これほど、マニアックとも言える料理で、お客さまを魅了しているお店はあまり存在しません。

どちらかと言えば、敬遠されやすいタイプです。

しかし、多くの常連さんに愛され、いつも賑わっています。

お店は昭和のまま。提供するものも昭和のまま。

スタイルを変えることなく、昔のままに営業を続けていることが、長く生き残っている要因なのです。

時代の流れなど、関係なし。若者の求めるものなど、完全に無視。

これが当店。当店の売りはこれ。やるべきことを続けるのみ。

頑固一徹ではなく、お店を愛してくれるお客さまを大切にしているだけです。

image by:  7maru / Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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