「国民を欺き、逃げ切る」悪知恵が詰め込まれた自民党案
言うまでもないが、連座制の仕組みは公職選挙法に導入されている。例えば、候補者陣営の遊説責任者を務めた秘書が、運動員に違法な報酬を支払うなどの選挙違反で有罪が確定すると、議員も当選無効となり失職する。
手続き的には、秘書の有罪判決が確定した後、議員の当選無効を求める行政訴訟が行われるが、当選無効はほぼ確実に認められる。訴訟自体も迅速な判決を目指す「百日裁判」で進められるため、議員は「即アウト」に近い形で失職する。かなり厳しい制度と言えよう。
しかし、自民党が政治資金規正法改正案に盛り込もうとしている「連座」は、これと比較して相当に生ぬるい。
第一に、前提となる「会計責任者の立件」自体が少ない。24日の参院予算委員会で立憲民主党の蓮舫氏が指摘していたが、今回の裏金事件をみても、会計責任者の立件は極めて限られていた。政治家の法的責任を問える可能性は、限りなく低い。
第二に、会計責任者の有罪が確定しても、その後に今度は議員本人に対して「十分な確認をした上で確認書を出したのか」を改めて問い直すことになる。
おそらく公職選挙法のように行政訴訟が行われるのだろうが、公選法ほど形式的なものにはならないだろう。実際、公選法同様の「百日裁判」を導入するという声は、自民党から聞こえてこない。
議員は「十分な確認をして確認書を出した」と強弁するだろうし、そもそも「ちゃんと確認しなかった」ことを証明するのは困難だ。
公判が長引くうちに、国会議員の任期は終わってしまう。ほとんどの議員が「逃げ切り」で議員生活を全うするのではないだろうか。