メグ先生の森の診療所

森の診療所から始める 旅こそアンチエイジング

  • 健康になれる旅情報が得られる
  • 最新のアンチエイジング方法も提案
  • 旅先の美味しい野菜の情報もあり

アンチエイジングには、こころと身体が健やかになる旅が一番効果的。そう語るのは、医師であり、医学博士日本抗加齢医学会認定医、野菜ソムリエ上級プロ、全日本ノルディックウォーク連盟公認指導員など、様々な顔をもつ「メグ先生」こと宮田恵さん。2018年1月から、旅とアンチエイジングをテーマにしたメルマガを新創刊するとのことで、専門家ならではのお話を伺いました。

健康が実感できない。医療満足度が低い日本

――メルマガはアンチエイジングを主体にされていますが、アンチエイジングに興味をもったのはなぜですか?

医療の現場では、診断基準や治療指針はすべての人を「同じ」ととらえて決められているんです。でも、ここ30年、日本人は長寿になり、これまで高齢者とされてきた方々がさらに「後期高齢者」として医療を受け、その医療費は増加する一方です。

老化にともなう症状や病態に対し、専門医が保険診療をおこなうことが多いので、臓器別の病名も増えるし、検査も投薬もそれに応じて増えてしまっています。でも、その割には日本人の医療に対する満足度はかなり低いんですね。これは、日本人が健康を実感していない、「本当の意味での健康」ではない、ということでもあるんだと思います。

アンチエイジング医学の概念である「食事・運動・こころのありかた」をベースに、個々の老化度に応じた診療を行うことで、理想的な診療が行えるのでないか、そう考えたんです。食事、運動は生活習慣病や慢性疾患の治療の柱でもあり、これを実施して薬物治療の効果、手術後の回復もはやくなります。抗加齢医学(アンチエイジング医学)を医療に応用していくことで、患者さんの治療へに対する意欲が増し、自身のセルフケアの重要度も理解していただけるようになるはずだと考えています。

  ただし日本の医療は保険診療が中心ですので、アンチエイジング医学は自由診療の範囲となります。ここにいろいろな健康産業が上手にコラボしていくことが重要なんです。

2ステップの基本がないアンチエイジングは意味がない

――現在、アンチエイジングという言葉だけが独り歩きしている印象もあるのですが、
効果は本当にあるんでしょうか? 医師の視点ではいかがでしょうか?

いろいろなアンチエイジングがあります。テレビやネットではビジネスになり、利益重視の商品がたくさんあるので、利用は十分注意していただきたいですね。

宮田恵さん

本来はアンチエイジングにはステップがあり、ステップ1でアンチエイジング医学の基礎を知り、老化していく自身の身体を客観的に見ていく力を持つことが、自分の管理(健康経営)への意識を高めます。

ステップ2では、それをもとに食事・運動・睡眠の質をより良く実践していくことです。食については特に野菜の品質がアンチエイジング食材として相応しいかどうかの重要項目ですので、選択には深い知識が必要になります。

これらのステップ1,2を踏んではじめてステップ3,4の、サプリメントとか点滴療法とかホルモン補充療法とかの、高価なアンチエイジング方法が意味を持ってきます。

基本となるステップ1,2を飛び越えて、イメージだけの高額なアンチエイジング法には注意が必要です。医療資格を持たない方々もアンチエイジングをキーワードに色々な商法を展開していますが、自分がこの方法でうまくいったから、医学用語を並べているだけで、意味不明な健康法については、注意したほうが良いかもしれませんね。

こころと身体をいやす旅こそ、アンチエイジングに最適

――旅とアンチエイジングがテーマということですが、旅するだけで、アンチエイジング効果はあるんですか?

いろいろな旅がありますが、旅は日常生活から離れる良い機会です。おそらく仕事、子育て、介護、リタイアした方であれば、刺激のないマンネリ生活、それぞれ立場は異なりますが、日常から離れることで、心身の気づきがあるはずです。美しい自然環境にもとづく空気、水、森、静けさ、食がある旅先ならば、それだけで心身の安らぎを得られるはずです。その安らぎを体感したら、日常生活に足りないことが見えてくるでしょう。気づくことが大事なのです。日々の暮らしに取り入れられることがひとつふたつ見えてきたら、旅は大成功です。

また「あの場所に行けばこころも身体も安らげる」と思える旅先、すなわちエスケープする場所をもつことの安堵感は大事ですね。

もし美味しい野菜があれば、そのあとお取り寄せもできるし、継続購入して食からのアンチエイジングを実践できます。

宮田恵さん

それから運動については特に重要なファクターがあります。運動の重要性はわかっていても、フィットネスクラブの会員権はあまり使っていない(会費を払っているだけ)、ウォーキングも気乗りしないし継続しない、という方も多いようです。しかし自然環境が素晴らしいところで運動したときの爽快感や楽しさの記憶は、次からの運動への意欲を高めます。逆に「運動しなくては・・・」という意気込みだけでは運動習慣にはならない、「楽しい」こそが運動の大事なことなのです。

また旅先で現地の方々との交流もとても良いですね。人はひとに癒されます。

――リタイアされた方の旅というと観光名所を回るだけでは?というイメージもあるんですが、実際にはどうなんでしょうか?

これからのシニア世代は、団塊の世代の方々が中心になります。この世代はモノの価値を良くわかっていますし、情報収集がとても上手です。団体ツアーとか旅行会社のパッケージ両行も安いかそうでないか(利用してもよさそうかどうか)判断してから利用しています。旅のテーマも多彩。蕎麦の名店があれば「蕎麦を食べに行く」という主目的に、その他の観光を組み立てていく感じです。名所は旅行者本人が決める時代だと思います。

海外旅行もこなした、国内にはもっと見るべき場所、食べたい食がある、しかも気軽で安心。国内旅行はもっと伸びるし、「暮らすような旅」を私は提案していきたいですね。「暮らす」は健康的で身体の負担は少ない場所か、あるいはもっと健康になれる場所が相応しいのです。

セルフケアが苦手な男性こそ、アンチエイジングを意識したい

――男性と女性では、アンチエイジングで気にかけるところは変わりますか?

いずれも性ホルモンが少なくなり、性ホルモンで守られてきた身体の仕組みに変化がくるということです。身体だけでなく精神も変化が生じます。

女性の場合はセルフケアをしている方が多いし、美容健康の情報もたくさん知っていますが、いかんせん、情報にあふれて、自分にふさわしい方法を知らない、実践していない方も多いです。いろいろな商品を購入している割に、食事はきちんとしていない。いびつなのです。正しい情報を手に入れなければ金銭的にも損しているし、それに気づかないことも多いと思いますよ。

男性はセルフケアが苦手です。自身の老化も認めたくない。医療機関を受診しても、あれこれ生活指導を受けることがとても苦手です。老化に伴う症状で、男性が注意すべき点は「頑固になる」ことです。人生の後半ほど、職業を離れた人間関係を作り上げていくことがよりょい人生につながる、そしてそれが認知症予防の大きなファクターであるのです。愛され人生はアンチエイジングから、と言っても過言ではありません。

――いくつぐらいからアンチエイジングを気にかけたほうがいいのでしょうか?

遅すぎることはあっても早すぎることはありません。40歳を過ぎてから、特に50歳前後で性ホルモンは低下していき、それに伴いこころと身体の自覚症状は増えてきます。この時点で「食事・運動・こころのありかた」をより良くしていく努力により、年齢はもとには戻せませんが、すがすがしい心と体は手に入れることが可能です。

老化のカーブを緩やかにするという視点からは、何歳になってからでも実践することは意義がありますし、例えば内服薬を増やさない、減薬するという手段としてもアンチエイジングをお勧めできます。理想を言えば30歳代の過ごし方で40歳以降の身体のカーブの下りを緩衝しますので、若いうちからのアンチエイジングの準備も価値あるものだと思います。

人生の旅路に役立つ各地のアンチエイジング情報を更新していきます

――メルマガではどのような内容が配信されるのですか?

人生も旅です。日々の暮らしに役立つ健康法・アンチエイジング法の情報をアップデートでお伝えします。50歳以降はワクワクすることも少なくなる傾向があり、日常生活に活力がなくなることが、精神衛生上もよくありません。引きこもりは認知症の誘因になるともいわれています。アンチエイジングに役立つ食の話題になれば、その産地の話題にふれますし、美味しい食の背景には美しい自然がありますから、産地を訪ねたいと思う気持ちになる、すなわち旅への誘いになるように情報を組み立てて、発信します。

これまで積み重ねてきた経験と人脈、そして美味しい野菜をもとめ続けてたどりついた「本当に美味しい野菜の定義」をもとに全国の情報をお知らせします。

職場とは関係ない領域の方々と交流することは中高年期以降の人生を豊かにします。食からの健康法や、共通のスポーツ、温泉などの情報は、会話を盛り上げる話題としてこと欠きません。そしてご紹介するアンチエイジング旅に参加してさらに交流を深めたり、新しい友人が出来たり・・。SNSでの交流よりずっとずっと大切な「人とのつながり」が見つけられると思いますよ。

メルマガでは日々役立つ健康法・アンチエイジング法の知識をお伝えするとともに、私がこれまで経験し培ってきた食と自然環境の旅の情報もお伝えします。きっと人生の一部に旅がかさなり、旅が人生を麗しいものに変えてくれる、そういう内容をお伝えしていきたいと思っています。

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宮田恵さんプロフィール

岩手医科大学医学部卒業、医師、医学博士日本抗加齢医学会認定医、日本医師会認定産業医、野菜ソムリエ上級プロ、全日本ノルディックウォーク連盟公認指導員。アンチエイジング旅研究家。医師として大学病院、一般病院、僻地の診療所長でさまざまな医療を経験する。当時の医療に「食の大切さ」の認識が低いと感じ、多くの人々に楽しく食を語る「野菜ソムリエ上級プロ(最上位)」の資格を取得して、全国で活動を始める。高校生1000人の食育、食と健康に関わる講演会・執筆活動多数。医学学会から「美味しい野菜と身体の関係」の講演依頼もあり。現在はみやた整形外科医院で内科を担当。慢性疾患の治療の基本である「食事・運動」を楽しく継続する「スマートエイジング倶楽部」を主宰。また医食農連携事業(岩手の食材で毎日キュイジーヌマンスール)にて、岩手県で生産される機能性食品(農林水産物)の普及を行っている。

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