盲ろう者として初の東大教授に。福島智氏に使命を与えた「態度価値」

20171027_todai
 

もしも光も音もない世界で生きることになったら…。今回の無料メルマガ『Japan on the Globe-国際派日本人養成講座』では、目も見えず耳も聞こえない「盲ろう者」となり絶望の淵に叩き落とされながらも、ある重要な人間の「価値」を見出し、現在は東大教授として教鞭をとる福島智(さとし)氏を紹介しています。

光も音もない世界で生きる意味を問う

月刊誌『致知』を読んでいて「へぇー、こんな人がいるのか」と驚かされた。盲ろう者(もうろうしゃ)、すなわち目も見えず耳も聞こえないながら、東大教授をされているという福島智(さとし)である。

記事は『水滸伝』(全19巻)などで有名な作家の北方謙三氏との対談。耳の聞こえない福島さんは、自ら考案した指点字という方法を使う通訳者に入ってもらい、他者と会話をしている。通訳者が福島さんと両手の人さし指と中指、薬指を重ねて、点字のタイプライターのキーに見立てて指を叩いて伝えるのである。この対談もそんな風に行われたのだろう。

対談の中で、福島さんはこんな風に語っている。

私が北方先生の作品に強く惹かれるのは…登場人物が、男にしろ、女にしろ、筋を通して生きているということ。その筋というのも、他人から見るとつまらないと思われるようなものかもしれないけれども、それに懸けて生きるということ。そういった生き方がすごく私の心に突き刺さってきたし、私はそうありたいという願望にヒットしたんです。
(対談『運命を切りひらく』福島智、北方謙三/「致知」)

その一例として、福島さんは北方作品の中から、こんなシーンを挙げている。

先生のブラディ・ドール・シリーズに、遠山という画家が出てきますよね。彼は初老の男で、肉体的な力はあまりないけれども、一人の女性を守ろうとして、殴られても殴られてもフラフラになりながらも立ち続ける。

 

これなんかは、私の心の内の願望を見事に描いていただくようなシーンで、この男のようにありたいと強く思いましたね。自分の人生においても、とにかく立ち続けたいと。
(同上)

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