<推しポイントその1:究極の川上戦略「自社で農場・養鶏場・漁船まで持つ」サプライチェーン>
神戸物産が「究極の製販一体」と言われる最大の理由は、そのサプライチェーンの深さにあります。
彼らは単に工場を持っているだけでなく、農業、畜産業、そして漁業という、食品流通の最も源流である川上から自ら手がけているのです。
具体的には、北海道に広大な農場を所有して食材を生産し、さらには「養鶏場」も自社で運営しており、鶏から育てて肉や加工品を供給しています。
驚くべきは水産業です。
宮城県石巻市において、なんと2隻の「底引き網漁船」を所有しています。これは、震災で経営難に陥った地元の水産会社を買収し、資金を投入して再生させたものです。
ここで獲れた魚を自社の加工ルートに乗せ、全国1100店舗以上の業務スーパーへと下ろしていく。
この「誰も真似できない規模のショートカット」が、中間マージンを極限まで排除し、驚異的な低価格を実現しているのです。
<推しポイントその2:海外50カ国からの直接輸入と「カルディ超え」のコスト競争力>
国内生産だけでなく、海外からの調達力も桁違いです。
神戸物産は世界50カ国の協力工場から、商品の「直輸入」を行っています。
通常、海外製品を輸入する際は輸入商社や卸業者を介しますが、彼らは自分たちで直接交渉し、直接仕入れます。
私たちが業務スーパーで見かける、日本にはない珍しいお菓子やチーズ、ワイン。
これらが非常に安く売られているのは、この「商社抜き」のスキームがあるからです。
店舗網が1100を超えているため、1回あたりの仕入れボリュームが非常に大きく、メーカーに対しても強い交渉力を持っています。
おしゃれな輸入食品店として人気のカルディ(KALDI)と比較しても、扱っている領域は重複していますが、価格は「カルディの半分」と言えるほど、圧倒的なコスト競争力を誇ります。
<推しポイントその3:倒産寸前のメーカーを再生させる「2代目社長のマーケティング術」>
神戸物産の強さは、M&A(合併・買収)の巧みさにも現れています。
彼らは経営に行き詰まった食品メーカーを買収し、独自の合理化手法で高収益企業へと変貌させるのが非常に得意です。
例えば、あるパン工場を買収した際、その工場ではもともと80品目もの多種多様なパンを作っていました。
しかし、それでは効率が悪すぎます。
そこで神戸物産は「もう2種類(天然酵母食パンなど)だけでいい」と品目を絞り込ませ、それを全国の店舗で売ることで工場の稼働率を一気に引き上げ、業績を回復させました。
また、牛乳メーカーを買収した際には、ライバルが多い牛乳としてではなく、牛乳パックの生産ラインをそのまま使って「水ようかん」や「ゼリー」を充填して販売するという、独創的なアイデアを形にしました。
この徹底した合理化とマーケティングのセンスこそが、彼らの再生力の源泉です。
<推しポイントその4:フランチャイズ(FC)の常識を覆す「ロイヤリティ1%」の衝撃>
神戸物産の店舗のほとんどはフランチャイズ形態ですが、その契約内容は異例中の異例です。なんとロイヤリティが「仕入れ高の1%」しかないのです。
コンビニエンスストアの代表格であるセブン-イレブンなどは、粗利益の30%〜40%をロイヤリティとして本部に納めるのが一般的です。

これを「売上に対する比率」に引き直して比較すると、コンビニが売上の約12%を持っていくのに対し、神戸物産はわずか0.6%程度しか受け取りません。
フランチャイジー(加盟店)からすれば、本部に持っていかれるお金がほとんどないため、売れば売るほど自分たちの利益になります。
この「加盟店を儲けさせる」仕組みが、各店舗の販売意欲を最大化させているのです。
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