営業利益率・1万台体制・10月の指数需給が次の株価を左右する
編集部は、中長期では株価が下がったところを少しずつ買う余地がある一方、短期的な高値追いは避けたいと見ています。推論AIとHBM向け検査需要は強い半面、高い評価倍率が悪材料への反応を増幅し、株価の振れを大きくします。
ここから一段高へ進むには、会社計画を上回る利益率と強い受注環境を次回決算でも示す必要があります。需要鈍化やコスト増が表面化すればPER調整が起こりやすく、10月には日経平均の指数需給も加わります。
<51.7%の営業利益率を保てるかが次回決算の注目点>
1Qの営業利益率は過去最高水準でしたが、会社は同じ採算が年間を通じて続くとは見ていません。1Qには在庫評価損の戻りもあり、今後はDRAMを含む部材価格の上昇が製造原価を押し上げる可能性があります。
利益率を左右するのは、値上げや製品構成の改善でコスト増を吸収できるかです。売上が計画を上回っても、利益率が急低下すればEPSの上振れ幅は縮みます。次回決算では、受注額より粗利率と営業利益率の動きを重く見たいところです。
<部材価格上昇を吸収しながら年産1万台へ進めるか>
増産には工場だけでなく、電源や計測部品、委託生産先の確保が必要です。同社は東南アジアでEMSの第2拠点を使い、主要部品では長期契約も進めています。EMSは外部企業へ製造を委託する仕組みです。
需要が供給能力を超えれば、販売機会を失うだけでなく納期も長期化します。反対に需要が急減すれば、増産投資が重い固定費負担へ変わります。5,000台体制への移行時期と、1万台へ向けた追加投資が利益を圧迫しないかが重要です。
<日経平均キャップ調整比率0.9から0.8への変更に注意>
日本経済新聞社は、アドバンテストの日経平均でのウエートが10%の上限を超えたため、2026年10月1日にキャップ調整比率を0.9から0.8へ下げます。指数計算に使う調整済み株価換算係数は7.2から6.4になります。
指数連動型ファンドは新しい比率へ合わせて保有量を調整するため、実施前後に機械的な売買が発生し得ます。これは業績悪化を意味しません。ただし、株価が高値圏にある時期と重なれば、短期需給の重荷になります。
<AI投資の選別、円高、メモリーシェア低下が高PERの調整要因>
ロイターは2026年7月、半導体株からAI投資を行うクラウド企業へ資金が移る可能性を報じました。AIサービスの収益が巨額投資へ見合わなければ、顧客が設備投資を選別し、テスター受注にも遅れて響きます。
成熟した自動車・産業向け半導体の弱さ、円高、メモリー分野のシェア低下も無視できません。さらに、転換社債は将来の希薄化要因です。高PER銘柄では、業績見通しがわずかに下振れしただけでも売りが集中しやすくなります。
一方、1,500億円を上限とする自社株買いは需給を支えます。ただし、転換社債による潜在的な希薄化を完全に打ち消すわけではありません。
まとめ|業績は強いが株価は成長の持続まで織り込んでいる
アドバンテストは、推論AI向けASIC、CPU、HBMの検査需要を取り込み、27年3月期1Qで最高益を更新しました。半導体が複雑になるほどテスト時間と挿入回数が増えるため、AI投資の恩恵は出荷数量以上に広がります。
中長期の成長期待は高い半面、今の株価はかなり先の利益成長まで織り込んでいます。AI半導体関連の中では業績の裏付けが強くても、割安な銘柄ではありません。
次に見る数字は、2Q以降の営業利益率、SoCテスター5,000台体制への進捗、メモリーシェアです。10月の指数調整は業績と切り分け、短期需給の変化として扱います。
押し目を段階的に拾う選択肢には妙味があります。ただし、短期的な過熱局面で無理に追わず、利益率と受注環境を確認しながら投資判断の前提を更新してください。
本記事は日本投資機構が運営する金融メディア『INVEST LEADERS』からの提供記事です。
※タイトル・リード・見出しはMONEY VOICE編集部による
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