2026年8月7日に発表された、株式会社ブリヂストン2026年12月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
2026年12月期第2四半期決算説明
森田泰博氏(以下、森田):株式会社ブリヂストン取締役代表執行役Global CEOの森田です。まず、決算説明に先立ちまして、7月28日に発生した令和8年熊本地震によりお亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。また、被災されたみなさまに心よりお見舞い申し上げます。
当社は熊本県に化工品の生産工場を有し、九州地区には販売拠点や販売店がありますが、幸いにも従業員に人的被害はなく、物的被害も軽微にとどまりました。熊本工場については、地震発生直後に生産を停止しましたが、安全が確認された工程から順次生産を再開しています。
お客さまへの影響を最小限にとどめるため、安全確保を最優先に必要な対応を行っています。また、被災地域の状況を踏まえ、被災された方々への支援および被災地の復旧・復興に役立てていただくため、当社グループより熊本県および日本赤十字社に支援金を寄付することを決定しました。被災地の一日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。
2026年事業計画
それでは、2026年第2四半期決算についてご説明します。2025年通期決算の際にお伝えしたとおり、2026年はこれまで築いてきた強いビジネス体質を継承しつつ、質を伴った成長ステージへと着実に移行し、成長基盤を確立して、創立100周年となる2031年までに世界No.1を奪回することを目指して歩みを進めていきます。
重点課題として、まずはメーカーとしての原点である魅力的な商品とモノづくり、当社の強みであるグローバルポートフォリオおよびブランド力、この3点の強化を軸に、2月にお伝えした通期連結業績予想である売上収益4兆5,000億円、調整後営業利益5,150億円、利益率11.4パーセントの達成を目指し、グローバルワンチームとして努力を続けています。
2026年第2四半期累計 連結業績総括

上期の連結業績結果についてご説明します。売上収益は2兆3,217億円で前年比10パーセントの増収、調整後営業利益は2,809億円で前年比20パーセントの増益、利益率は12.1パーセントで前年比1ポイント改善しました。
当期利益は、昨年まで取り組んでいた再編・再構築が完了し、調整項目が大幅に減少したこともあって、前年比79パーセント増の2,062億円となりました。
緩慢な需要環境においても、各事業体での不断の努力により、主要市場・財にて拡販・シェアアップを達成しました。
また、売値・MIX良化を伴う販売量の増加により売上収益が増加し、質を伴った成長ステージへの移行が着実に進行しています。
さらに、中東情勢や米国関税などによるコスト上昇の影響がある中でも、再編・再構築効果や継続的な原価低減活動等により、利益額や利益率を対前年で改善することができました。
通期見込みについては、中東情勢の影響によるコスト増が下期だけで600億円強見込まれ、厳しい事業環境が想定されますが、さまざまな施策を組み合わせることで、2月に対外発表した計画の達成を引き続き目指していきます。
2026年第2四半期累計 連結業績総括:主要エリア別

主要市場別の総括です。為替の追い風もあり、各市場ともに増収増益となりました。北米では厳しい事業環境の中、乗用車用タイヤのマルチブランド戦略やトラック・バス用タイヤのソリューション事業が堅調に推移しました。南米は課題が多いものの、黒字を確保し、前年から着実に改善しています。
欧州では再編・再構築の効果や市販用乗用車用タイヤの販売拡大、シェアアップ、小売事業の改善が進み、収益力を継続的に向上させ、大幅増益となりました。
アジアにおいては、インドで市販用タイヤの販売拡大、中国で新車用タイヤの販売拡大を進め、成長基盤を強化しています。
日本でも新商品「FINESSA」投入を軸に、市販用乗用車用タイヤの販売を拡大するとともに、超大型鉱山・建機用タイヤの販売も堅調に推移しました。
重点課題取り組み状況:魅力的な商品とモノづくり

重点課題における取り組み状況についてです。まず、魅力的な商品とモノづくりに関してです。乗用車用タイヤでは、今年グローバル全体で年間25以上の新商品を投入する計画であり、上期には18商品を発表しました。
北米需要が前年比92パーセントと低迷する中でも、魅力的な商品によるシェアアップを達成し、グローバルの販売本数は前年比102パーセントとなっています。
北米ではブリヂストンとFirestoneの両ブランド、日本ではスポーツタイヤ「POTENZA」、新ブランド「FINESSA」、およびスタッドレスタイヤの新商品「BLIZZAK ICEPEAK」など、幅広いラインナップを展開しています。
また、化工品・多角化事業では、水素充填ホース「OPTIFY」やゴルフクラブのアイアン「B-FORGED」などの新商品を投入しました。今後も全社・グローバルで魅力的な商品を軸に成長を推進していきます。
重点課題取り組み状況:ポートフォリオマネジメント

ポートフォリオマネジメントについてです。スライドの図は、前年同期比の調整後営業利益の伸長率を示しています。上期はすべての領域で収益力を強化することができ、事業別ではソリューション事業が成長し、タイヤ事業および化工品・多角化事業も増益となりました。
財別では、ソリューションと連動するTBおよびSpecialtiesの生産財事業が堅調に推移したことに加え、PS事業も着実に改善しています。
セグメント別では、欧州事業が大幅に改善し、日本、米州、アジア・大洋州でも着実に収益力が向上しています。
冒頭でもお話ししたとおり、下期は事業環境がより厳しくなる見込みですが、成長に向けた取り組みを強化し、成長軌道を維持したいと考えています。
重点課題取り組み状況:ブランド力強化

3つ目の柱であるブランド力強化については、モータースポーツ活動や企業広告の充実に取り組んでいます。
ブリヂストンのモータースポーツ活動では、「鈴鹿8時間耐久ロードレース」や「SUPER GT」へタイヤを供給するとともに、レースに向けてワンチームで取り組むことで、活気を生む組織作りにも貢献しています。
また、より多くの方々にブリヂストンを知っていただくため、企業広告の拡大を推進しています。Firestoneブランドでは、米国の伝統的なレースであるINDY CAR SERIESを支え、5月に行われた「The Indianapolis 500」では、多くの観客や視聴者とのタッチポイントとなりました。このレースでは、史上最も僅差で決着したエキサイティングな場面を足元で支えました。
さらに、Firestone125周年記念活動も昨年から展開しており、米国におけるマルチブランド戦略にも貢献しています。今年後半からは「フォーミュラE世界選手権」への参戦がいよいよ始まります。引き続き、ブランド力のさらなる強化に努めていきます。
以上が、連結業績総括と重点課題への取り組み状況のご説明となります。
2026年第2四半期累計 連結業績

菱沼直樹氏(以下、菱沼):常務役員CFOの菱沼です。私からは財務数値を中心にご説明します。2026年第2四半期累計の連結業績は、前年と比べて増収増益となり、調整後営業利益率は前年比で1ポイント改善し、12.1パーセントとなりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は2,062億円です。
調整後営業利益の伸長に加え、事業再編・再構築がほぼ完了し、それに伴う費用計上が前年から大幅に減少したことなどが要因で、当期は前年を大きく上回る増益となりました。
2026年第2四半期累計 調整後営業利益増減要因:前年差

調整後営業利益の前年からの増減要因についてご説明します。上期においては、原材料価格が追い風となったことに加え、高インチタイヤの拡販による販売MIXの改善や販売の伸長もあり、質を伴った成長への移行が着実に進みました。
また、地道なグローバルビジネスのコストダウン活動の継続や、再編・再構築によるビジネス体質改善が業績を下支えしました。その中で、成長に向けたリソース投下を着実に実施しながらも、インフレなどによる営業費の増加や米国関税、中東情勢の影響がありました。しかし、為替影響を除いても、対前年で増益を達成することができました。
2026年第2四半期累計 セグメント別業績

セグメント別業績です。先ほど森田からの説明があったとおり、為替の円安の追い風もあり、すべてのセグメントで増収増益となりました。アジア・大洋州・インド・中国セグメントでは、前年の一過性項目の影響を除けば、対前年で利益率も改善しており、収益性についても、実質的にすべてのセグメントで改善しています。
2026年第2四半期累計 財別業績

財別業績についてご説明します。すべての財において増収増益となり、収益性も改善しました。乗用車やライトトラック用タイヤにおいては、高インチタイヤの拡販と構成比の向上が継続しています。
北米では、市販用タイヤの需要減速がある中でシェアアップを達成しました。また、小売事業の収益性改善も貢献し、前年比で増収増益を達成し、収益性も改善しています。
トラック・バス用タイヤについては、第2四半期の販売が新車用・市販用ともに前年を上回りました。また、生産財系BtoBソリューション事業の成長に加え、米州および欧州における再編・再構築の効果も寄与し、前年比で増収増益を達成し、収益性も改善しています。
Specialtiesについては、鉱山向け超大型ORタイヤが前年を上回る販売を達成したほか、原材料価格の良化や為替円安による増益効果も重なり、増収増益を実現しました。引き続き20パーセントを超える高い収益性を確保しており、連結全体の業績に貢献しています。
化工品・多角化事業については、地道な改善を継続し、前年比で増収増益となり、利益率も改善しました。
2026年第2四半期累計 事業ポートフォリオ別業績

事業ポートフォリオ別業績についてご説明します。タイヤ事業では、欧州や日本を中心とした乗用車・小型トラック用の高インチタイヤの拡販やMIX改善に加え、欧米でのTBRを中心とした再編・再構築の効果が発現し、増収増益となりました。調整後営業利益率は14パーセント台へ回復しています。
成長事業であるソリューション事業については、小売サービス事業が増収増益となり、収益性も改善しています。米州での成長に加え、再編・再構築を通じて欧州小売事業の収益性も改善しました。
また、生産財系BtoBソリューションでは、リトレッド事業などの成長が寄与し、増収増益となり、利益率は13パーセントを超えました。
2026年第2四半期 財政状態計算書及びキャッシュ・フローハイライト

財政状態計算書およびキャッシュ・フローの状況です。資産合計は5兆9,030億円で、前年末比1,552億円増加しました。
商品や製品については、リーン在庫管理を継続的に徹底した結果、前年同期比で為替の影響を除くと減少しました。また、キャッシュコンバージョンサイクルも前年同期比で為替の影響を除き改善しています。
フリーキャッシュ・フローは2,215億円の収入となり、税引前利益の増加と運転資本の圧縮をドライバーとした営業キャッシュ・フローの改善により、前年同期比で633億円増加しました。
また、2月に発表した資本政策については、1,500億円の資金調達を上期に完了しており、1,500億円を上限とする自己株式取得は7月末時点で進捗率87パーセントと着実に推進しています。
2026年通期 連結業績見通し

最後に、通期の見込みについてです。上期業績は計画比で上振れ着地となりましたが、下期は中東情勢に伴う原材料等コストの上昇が顕在化することに加え、指数連動価格契約における販売価格への反映にタイムラグが生じることから、より厳しい事業環境を想定しています。さまざまな対策に取り組み、通期では2月に発表した期初計画の達成を目指していきます。
私からの説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:上期の上振れ度合いとその背景について

質問者:上期の仕上がりについて、もう少し詳細を教えてください。計画対比で上振れというお話でしたが、調整後営業利益ではどの程度の上振れになっているのでしょうか?
背景として、販売面では引き続きマーケットに対して売り勝ち、もしくは堅調な状況が続いていたと思います。マーケット自体はあまり良くなかったと思うのですが、その中での販売戦略がどのように寄与したのかについて教えてください。
また、数量やMIXが計画対比でどのように寄与しているのかについても教えてください。増減要因分析を拝見すると、4月から6月の第2四半期において「その他」の項目がかなりプラスとなっており、未実現利益などの影響が出ているのではないかと感じています。
この点も含め、上期の上振れ度合いとその背景について、ビジネス面ならびに一過性要因の有無を含めてご説明いただければと思います。
森田:私から上期の状況の概要をご説明します。その後、「その他」の項目に関する未実現利益などの部分については、菱沼より補足します。
2月の計画説明でもお伝えしましたように、今年はスタート時から、数量の拡大に重点を置いて進めてきました。売値、MIX、数量の3つが上向きに推移するという計画を掲げていました。そして幸いなことに、上期においてその目標が達成されたということで、当社としては非常にエンカレッジな数字となっています。
計画における数量については、さらに上振れを目指していましたが、特に北米市場においてリプレイス需要が前年比で乗用車用92パーセント、TBが88パーセントまで落ち込む状況がありました。
その中でなんとか前年並みを上回るシェアアップを目標に取り組み、数量プラス60という結果を達成することができましたが、計画に対しては若干届かなかった部分もございました。
しかし、当初からここまでのシェアアップを計画していたわけではありませんので、その意味では非常に良い結果となったと考えています。
その要因としては、一過性のものではなく、新商品を適切なチャネルに正しく投入する計画を着実に遂行した点が挙げられます。また、商品やチャネル、さらに価格を含めたマーケティングミックスがうまく機能したことが収益に結びつきました。結果として、しっかりとした裏づけを持って数量増を実現したかたちです。
さらに、スライド左側に示された原材料の推移をご覧いただければわかるとおり、通常、原材料費が上昇する際には市場は下落傾向にありますが、特にリプレイスにおいてもその中で売値を維持する努力を重ねました。
そして、昨年から取り組んできたFirestoneマルチブランドも含め、Tier2やTier3の市場でのプレーを継続することによって、全体の市場を押し上げる動きを進めてきました。その結果、MIXプラス110という結果が示されており、上期としては非の打ちどころのない成果を上げることができました。
米国の需要がもう少し底堅く推移していればさらに良い結果となったと思いますが、現状でも目標どおり、狙いどおりの方向に会社として進んでいると考えています。
菱沼:「その他」の部分を含め、財務に関する詳細をご説明します。第2四半期を切り出した際の「その他」のプラス要因についてですが、ご指摘のとおり棚卸資産の未実現利益がプラスに影響しています。
第2四半期にかけて原材料価格が上昇している中で、どうしても粗利という観点では悪化する場面もありました。その影響により、棚卸未実現利益がプラスに寄与した要素も一因と考えています。
また、いくつか要因がありますが、1つは北米の小売店におけるサービス収入が含まれている点です。北米では小売店で一定の割合でサービス収入が計上されており、その推移が堅調だったことが、ポジティブな要素として反映されています。
さらに、為替に関しては、米国、欧州、アジアといった現地での為替が関係しており、各連結子会社の通貨価値が高くなったことで現地為替がプラスに影響しました。これらの要素が積み重なり、第2四半期において「その他」の項目がプラスに寄与した結果となりました。
質問者:調整後営業利益の上期の2,809億円という実績は、計画に対してどの程度上回っているのでしょうか?
菱沼:具体的な数字は控えますが、3桁億円レベルで上振れているとご理解いただいてけっこうです。
質疑応答:下期および次期中期経営計画への展望について
質問者:少し長期的な目線も含めておうかがいしたいのですが、今年から質を伴った成長という方向に変化していく中で、この上期の実績は特に販売面や販売戦略の面で非常に手応えがあったのではないかと、先ほどの森田さまのコメントから感じました。
外部環境についてですが、下期も中東情勢を除いたとしても市場環境としては決して良くない状況が続くと思います。そのような中で、足元の上期の状況がしっかりと持続するという手応えをお持ちでしょうか?
また、少し先の話になりますが、来年から新しい中期経営計画が始まる中で、さらなる成長を加速させて「No.1」を目指す方針になると思います。その際、森田さまの中でどのような方向性や戦略、さらにはどのような手応えを感じているのか、可能な範囲でお話しいただけますでしょうか?
森田:まず、上期は本当に手応えを感じました。逆に言えば、ここまでうまくいくと先が少し怖いとも思いました。しかし、第1四半期は少し販売量が伸び悩みました。北米で起こった寒波の影響もありましたが、いろいろな課題をしっかり認識しながら進むことができました。第2四半期では非常に強くシェアを拡大でき、本当に申し分ない結果を得ることができました。これに手応えを感じています。
下期に向けてですが、原材料価格が600億円ほど利益を押し下げる影響が見込まれること、また当社が上期でシェアを拡大した反面、市場では他社との競争が一層激化すると想定しています。そのような中で、バラ色の未来を描くというよりは、兜の緒を締め、手綱をしっかり握り、謙虚な姿勢で下期に臨みたいと考えています。
上期における好循環は、量の伸びが売値やMIXの良化につながり、それが生産量の増加を通じて原価低減を実現しました。そして、そこで得られた粗利益をブランドなどへの投資に還元する、まさに最高の循環でした。この結果をなんとか維持していきたいと考えています。同時にリスク管理をしっかり行いつつ、下期に向けて取り組んでいきます。
生産量について少し補足します。この点は、今後の中期経営計画の内容にも関わる部分ですが、当社は上期において、4年ぶりに前年比で生産量増加を達成しました。もちろん、数量が増えれば生産量が増えるのは当然ですが、これは当社が目指している方向と一致しています。
また、過去5年間にわたる再編・再構築は、何のために行ってきたのかといえば、成長を実現するためでした。そして、今回の生産量の増加は、その成長の一端を示すものです。このモメンタムをぜひ維持していきたいと考えています。
中期経営計画については、現在一生懸命作り込んでいます。今年は2つの方向性を掲げています。1つは、現状の会社の状態を再編・再構築から成長へと移行させていくことです。
もう1つは、中期経営計画の中で来年から「No.1」に向けての取り組みを作り込むことです。この2つを同時に進めています。どちらが重要かといえば、やはり現在の段階では、成長できるような企業体質への転換が重要です。
それができなければ、中期経営計画を作成しても達成感が得られないからです。現在は7割、8割程度、その方向へと進めているところです。
したがって、日々変化していく中東情勢も含めて、オペレーションを全力で進めながら、中期経営計画を非常に長い時間をかけて作り上げているのは、このような背景があるからです。
私が「グローバルでNo.1を奪回する」という志やアンビションを持ったのは、単に気持ちや思いつきだけではありません。「No.1を目指していく」という方向性が、結果的に会社の企業体質を強化し、さまざまな面で強くなるための非常に強い方策になるということで、多くの仮説をもとに作り上げたものになります。
最初にこの取り組みを提案した際には、「ブリヂストンさん、また量を取りに行くのですね。それでは利益はどうなるのですか? 市場はどうなりますか?」というご心配もあったかと思います。しかし、ブリヂストンが継続的に強くなるために、「No.1奪回」を掲げたという経緯があります。
そのための仮説もさまざまに立てています。この上期、私は先週までに海外11ヶ国を訪問し、アフリカでは3ヶ国を回りました。また、その間にタウンホールミーティングを通じて、社内のメンバー約3,000人と直接的、あるいはリモートを通じて対話を行いました。
600人ほどとは直接的に、10人程度の単位で数十回にわたる懇親会を通じてリーチしています。
その中で、みなさまが抱えている思いや私が持っていた仮説を実証し、さまざまな取り組みを続けています。この中には、サプライヤーのみなさま、私たちを外から客観的に評価いただける方、機関投資家のみなさまなど、多くの方々の期待を私たちの計画に取り込むべきと考えています。そのため、幅広く学びを深めているところです。
大きな枠組みはおおよそ整っており、基本的には現在の販売数量が伸び、価値が向上し、利益が拡大すること、さらに投下する費用や投資が増え、それがまた好循環を生むという、この上期に実行できたことをいかに継続的に2031年まで続けていくかが、当社の目標、つまり「No.1奪回」につながると考えています。
なにか特別な手段や急激な革新を行うというわけではありません。この中期経営計画はもしかするとおもしろさに欠けると感じられるかもしれませんが、魅力的な商品をしっかりと、世界で競争力のあるコストで生産していくことを中心に据え、現在構築しています。
質疑応答:プレミアムタイヤ事業の成長要因とオペレーション面の変化について
質問者:タイヤ事業についてです。今回利益率が14パーセントを超えており、非常に大きくジャンプアップしたという印象を受けます。
先ほど、「再編を行い、新商品を適切なチャネルに広げた結果こうなった」とお話しされましたが、一気に変化したようにも思います。従来おっしゃっていたようなチャネルの広がりが、ようやく現れてきたということなのでしょうか?
あるいは、森田さまがCEOになられてから、少し数量の見え方も変わってきているようにも感じられるため、なにかオペレーション面で変えられてきたこと、それが結果として結びついているような事例もあれば併せて教えていただければと思います。
森田:上期については非常に良い結果を得られました。新しい商品をしっかり市場に提供しながら、こうした結果を達成できたのは非常に良かったと考えています。
また、私がCEOとなってから数量的になにか動きが出てきたことについてですが、これはタイミングによるものであり、たまたまそのようなかたちで現れたと認識しています。
昨年の下期、具体的には2025年の年初から、質を伴った成長へのシフトを図りながら取り組んできました。そのため、今年の上期に突然良い結果が出たのではなく、昨年の下期からすでにその傾向が見られていたものが、しっかりと数量として表れたのだと思います。
さらに、新商品については順次市場に投入していますが、これは数年前から研究開発を進め、試作を繰り返してきた成果です。そのため、上期の実績は、一生懸命まいた種が花を咲かせた結果とも言えるでしょう。
したがって、今年1月に私がCEOとなったことでなにか劇的に変わったというよりも、それ以前から進めていた再編や再構築をしっかり完遂し、さらにその後半に新しい種をまいていくという取り組みを続けてきた成果が、この上期の良い結果につながっていると考えています。
質疑応答:次期中期経営計画における経営方針と成長指標について
質問者:先ほど海外11ヶ国を回られたということで、ブリヂストンという組織の課題や改善のオポチュニティについて、かなり肌で感じられたのではないかと思います。次の中期経営計画に向けて、現在どのようなことをお考えでしょうか?
また、私自身「No.1が何なのか」という点については、正直、まだわかっていない部分もあるのですが、森田さまがこれからご覧になる指標として、何を重視されるのでしょうか?
例えば売上、シェア、利益、あるいは従業員のエンゲージメントなど、さまざまな要素があるかと思いますが、どこに重点を置いて今後の経営を進めていかれるのか、この点についてもご教示いただければと思います。
森田:1月からさまざまな場所を訪問し、対話や現場視察を重ねてきましたが、社内の話として、当初は先々への不安が大きかったように感じます。しかし、「No.1になるぞ」という言葉がみなさまに勇気を与え、「ここから先、さらにみんなでがんばっていくんだ」「大きくしていくんだ」というところに気持ちが高まっています。
今は、これまでの再編・再構築を経て、質を伴った成長に向かっていく段階です。昨年、あるいはその前の「24中期事業計画」の中で掲げていたものの、社内にはまだ不安が残っていました。
しかし、私自身がタウンホールミーティングも含めて対話を進める中で、会社がこの方向に進んでいくという確信を、多くのみなさまが持ち始めているように感じています。
必要に応じてTier2やTier3への対抗策を講じながら、全体としての「プレミアム戦略」は変わることがありません。この戦略を達成するために必要なツールを会社として用意することで、それが形となり、好循環を生むと考えています。数量の増加、売値の向上、MIXの改善など、これらを私は好循環と捉えています。
そのような好循環が生まれてくる中で、みなさまの気持ちも少しずつ「本当にNo.1になっていくんだ」と、変わりつつあると感じています。自信や会社への信頼が着実に増えていくと思います。
この「No.1」とはいったいなにかという点についてですが、当社は1月以降、多くの指標を確認し、どれが何位から何位に変化したのか、包括的に非常に多くの数値を見ています。現在当社には、「No.1」といえる部分は多くありますし、もちろんそうでない部分も多く存在します。やはり、社会から「タイヤならブリヂストンだよね」と評価していただける存在を目指しています。
当然ながら、シェアや規模感といった点も追求していきます。具体的には、「世界で最も多くのタイヤを製造する会社」「世界で最も多くのゴムやその他の材料を用いて、化工品も含めて事業を展開する会社」という位置づけを逃げずに取り組んでいく考えです。
これが先ほど申し上げた「価値を同時に向上させながら進めていく」という取り組みであり、その結果として、利益を増やし、ステークホルダーへの還元、さらには社会への還元も実現できると考えています。
この「No.1」という概念については議論を重ねていますが、特定の分野に偏ることなく、ステークホルダーやみなさまとの調和が取れた状態で、総合的に「一番」を目指していきます。ただし、その中でも中心的な存在として、「最も大きな会社」を目指すことは、私個人としても当然ながら強く志向しています。
質問者:組織のポテンシャルを底上げされていくということかと思いますので、楽しみにしています。
質疑応答:北米市場での成功要因と持続可能性について

質問者:非常にすばらしい決算ですが、持続性について気になっています。価格と数量のどちらかしか取れないだろうとミシュランさまなども言われる中で、今回は両方を取られています。
もしよろしければ、北米やSpecialtiesの分野に焦点を当て、これらがうまくいった背景についてお教えいただけますか? 例えば、御社の直営店を適切に運営されたことで、他社が結果を出せなかった中で御社だけが成功を収められたような要因があるのか、という点です。
また、超大型製品においても9パーセントの伸びが見られるため、それも含めて何が成功の要因となり、これだけのシェアを獲得できたのか、それがどの企業から奪ったシェアであるのか、さらにそれを持続可能なものとできるのかについても教えていただければと思います。
実は在庫などが一時的に膨らんでいないかと心配しています。そのあたりも含めて、もう少しデータなどがありましたら補足やコメントをいただければと思います。
森田:北米市場を中心にご説明します。他社についてはコメントしづらい部分もありますが、当社は、自動車用タイヤでブリヂストンとFirestoneという2つのブランドを持っており、また、直営店は2,200店舗という非常に大きな規模を誇っていることが強みです。
このネットワークには、マルチブランド展開と直営店、さらにマルチブランドの中でブリヂストンブランドだけでなく、「インディ500」でおなじみの長年アメリカで非常に強いブランドとして地位を維持しているFirestoneが含まれています。この組み合わせにより、当社として非常に強力なビジネスモデルが構築できていると考えています。
特に昨年からは、マルチブランド戦略の一環としてFirestoneを再度しっかり活用する取り組みを進めてきました。この取り組みが、トレードダウン傾向にある現在の市場環境においても効果的に機能しているのではないかと考えています。
今後もこの形態、すなわちマルチブランドと直営店を基本としながら、取引先店舗やカーディーラーの増加を図る取り組みを組み合わせることで、引き続き強固な基盤を構築し、持続可能な事業として成長させていきたいと考えています。
TBRについては、その影響がより顕著であると考えています。もちろん、謙虚に進めなければならない部分があるのは当然という前提の下でのコメントとご理解いただければと思いますが、ブリヂストンとFirestoneが築いてきた北米のTBRビジネスモデルは非常に強固です。
例えば、バンダグ社の買収から長い年月が経つ中で、昨年はこれまでで最も高いシェアを記録しました。リトレッドを活用しながら、お客さまに寄り添い、フリートに赴き、デポでタイヤをチェックしつつ、最適なタイヤの使用方法や状態を管理しています。
また、先月、私が訪問したアズーガ社のフリートマネジメントに関してですが、アズーガ社が持つノウハウが当社のビジネスモデルにしっかりと組み込まれたことで、そのモデルがさらに強化され、北米において非常にユニークで機能的なものになっていると感じています。
次に、マルチブランド戦略についてです。PSRでよくお話ししている内容ですが、トラックタイヤ事業においてもマルチブランドで事業を展開しています。ブリヂストンブランドはフリート向けソリューションを組み込んだビジネスモデルで展開しており、一方でFirestoneブランドはディーラー経由でフリートへ提供することを中心にしています。
また、Firestoneブランドには2つのラインがあり、実質的には3ライン体制でマーケットのニーズに応えています。そのため、当社が現在展開しているTBのビジネスモデルは、非常に強固であり、持続可能性を持ったものと考えています。
ただし、現状におごることなく、それぞれを日々進化させなければ競争に追いつかれてしまいます。そのため、現在の強いビジネスモデルを守りつつ、攻めの姿勢も同時に取り、これからの中期経営計画においてもしっかりと取り組んでいきたいと考えています。
質疑応答:正しい商品と正しいチャネルの詳細について
質問者:「正しい商品を正しいチャネルで売って、シェアも価格も」というお話がありました。例えばファミリーチャネル経由や直営店経由での販売構成比が、今回と前期の上期、あるいは下期と比べて上がっているということでしょうか? また、「正しい商品、正しいチャネル」という言葉については、何を指しておっしゃったのでしょうか?
森田:直営店網からのセルアウトが全体の中で比率として上がる、あるいは下がるといった大きな動きはありません。
私が申し上げたのは、タイヤは自動車メーカーに初めて納品した後、保守用として1回目、2回目、3回目の交換があり、おおむね15年から20年ほどで車がスクラップされることを考えると、その1回目、2回目、3回目の交換の際に、それぞれのお客さまが同じタイヤを選び続ける場合もあれば、車が中古車となり、新たなオーナーへと変わるケースもあるということです。
そのような変化の中で、お客さまが常に自動車メーカーに採用いただいているトップラインの商品を求められるわけではありません。2回目の交換時や、中古車となってオーナーが替わったケースでは、それぞれのお客さまが訪れる販売チャネルにおいて、仮に当社のトップライン商品だけを提供していては、お客さまにしっかりリーチできない場合があります。反対に、異なるタイプの商品しか用意していないといった場合も同様です。
したがって、当社の販売店やチャネル、直営店を含めて、それぞれのお客さま層に応じたラインナップと価格設定をしっかり最適化させていく必要があります。この「チャネルと商品と価格のマッチング」というのは、そのような意味を指しています。
現時点では、特に上期においてはこの取り組みがうまく機能したと評価しています。現物・現場を大切にする姿勢が当社の基本ですので、今後もその感度を高め、変化があれば、それに対応した俊敏なアプローチを実現していきたいと考えています。
質疑応答:ブリヂストンの企業価値と株価の受け止めについて
質問者:本日の決算発表により、株価が4,000円を超え、年初来の高値を更新していると思います。このようなマーケットの反応や、御社の現在の企業価値について、森田CEOはどのように受け止め、考えていますか?
また、これから質を伴った成長のフェーズに入る中で、さらに企業価値を向上させる余地があるのか、この点についてもお聞かせいただけますでしょうか?
森田:株価については、さまざまな要素で形成されるものですので、あまり一喜一憂しないように考えています。ただし、株価が上昇することは株主への還元につながるため、その動向を注視しながら対応しています。
企業価値を向上させるためには、事業規模の拡大とともに、収益性や価値の向上を図ることが重要です。これらを二者択一とせず、当社では両方を同時にしっかり進めていく方針を掲げています。
具体的には、トップラインを堅実に伸ばし、すべてのバランスシート項目を拡大させることが目標です。ただし、拡大のみでは収益性や効率が低下してしまうため、ROEやROICといった指標を向上させる取り組みも並行して進めていきます。
「本当にそのようなことができるのか」ということに関しては、事業規模と企業像を両立させる「より大きいブリヂストン」「より美しいブリヂストン」の実現に向けて現在取り組んでいます。この取り組みが絵に描いた餅にならないよう、上期に基盤を整備した現状をさらに強化していきたいと考えています。
結果として企業価値も株価も上昇するという順序で考えています。株価はもちろん気になりますが、一喜一憂せず、しっかりと企業価値を高めていくことを重視しています。当社の「最高の品質で社会に貢献」という使命や社会貢献のレベルをさらに向上させることが、最終的に株価にも反映されると考えています。
質疑応答:次期中期経営計画での資本効率指標の活用可能性について
質問者:次の中期経営計画では、ROICやROEというお話もありましたが、そのような資本効率の指標等を意識して出される可能性もあるのでしょうか?
森田:それらの指標については、当然必要なものであると考えています。ROICやROEも必要ですし、EPSなどさまざまな指標があります。当社としては、現在これらのアイテムを精査しながら検討しています。
現時点では、例えば自己資本比率が重要な項目の1つと考えています。これは現在、55パーセントを目指すという目標を「24中期事業計画」で掲げていますが、この方針に大きな変更を加える必要があるとは考えていません。
また、配当については、配当性向50パーセントという水準を「24中期事業計画」で設定し運営してきましたが、こちらについても大きな変更を行う予定は現時点ではありません。
いずれにしても、ステークホルダーとの調和を重視した経営を進め、みなさまにご納得いただけるよう、しっかりと考えた上で中期経営計画発表に向かいたいと考えています。
質疑応答:モータースポーツによる組織作りについて

質問者:重点課題の取り組み状況におけるブランド力強化の部分で、モータースポーツに関するお話があり、キーワードとして「活気を生むチーム作り」という言葉を森田CEOがお使いになりました。
非常に励みになる言葉で、さまざまな組織が目指すべき方向性かと思います。この「活気を生むチーム作り」について、具体的にどのような取り組みでチームに活気を与えているのでしょうか?
また、そのような事例や心がけていらっしゃることがあれば教えてください。
森田:モータースポーツは、私自身も大好きな分野です。このモータースポーツを中心に、タイヤ会社として、もちろん化工品も取り扱っていますが、やはりタイヤが主力であるため、これを軸に会社全体が盛り上がっていければと考えています。
モータースポーツの活気についてですが、私の考えでは、まずモータースポーツの特長として、順位が明確に示されます。そして納期が決まっています。例えば、ある予選の前までにタイヤがきちんと準備できなければ、その後は何をしても間に合わないという厳しさがあります。このように、納期を守ることで仕事が進み、それに応じた結果が明確に表れるのが特徴です。
結果が出た時に、それが1回で終わるものではありません。例えば、「The Indianapolis 500」であれば年に1回のイベントです。シリーズ戦であれば「SUPER GT」も同様ですが、また次のチャンスがあります。このようにPDCAサイクルを回すことができます。
そのため、1回の成功や失敗で次がないということはなく、納期があって、みんなで取り組み、順位が出て結果が出ます。そして、勝てばその喜びをみんなで分かち合えます。
さらに、自動車メーカーやサプライヤー、ファンのみなさま、ドライバーなど、関係者全員とその喜びを共有し、うまくいかなければ一緒に反省することができます。このプロセスが新しい商品や技術を生み出し、社内だけでなく社外の方々も含めてワンチームで取り組むことで活気が生まれ、それが広がることでブリヂストン全体が元気になっていきます。
また、「ブリヂストンと付き合いたい」「一緒にブリヂストンで働きたい」といった会社、あるいは「ブリヂストンに入社したい」といった方も今後さらに増えてくるのではないかと思います。
このようにして、モータースポーツを中心に活気を分かち合いながら、組織を活性化させていきたいと考えています。このようなご質問をいただき、本当に感謝しています。ぜひ、みんなでわくわくするような会社にさらに強化していきたいと考えています。
質疑応答:水素充填ホースの新商品「OPTIFY」の投入と今後の展開について

質問者:重点課題の取り組み状況の魅力的な商品とモノづくりに関してです。上期に商品数を18種類上市され、タイヤも豊富にラインナップされています。その中で特に、多角化事業におけるホースの新商品「OPTIFY」についてですが、ホースでの新ブランド投入は久しぶりだと思います。こちらの新ブランドを上市し、今後展開していく中で、森田CEOが期待するところや役割、今後の展開について教えてください。
森田:化工品に関しては、当社においてどのような位置づけとなっているのか、利益の位置づけや会社への影響がありますが、当社内部ではしっかりと整理されています。そして、社会インフラを支えるという点において非常に重要な役割を果たしています。
当社はゴムのプロフェッショナルとして、どのように社会を支えていけるかという観点から、化工品事業を非常に重要なものと位置づけています。
また、多角化事業の一環として、例えばスポーツ分野では発売予定のゴルフクラブのアイアンやゴルフボールが挙げられます。これらは、わくわく感や人生の楽しみ、彩りを提供するという点で大きく貢献できると考えています。
この化工品事業は、社会インフラを支えるという観点が重要です。例えば免震ゴムについては、これまでもご説明してきましたが、先日の熊本県で発生した地震のような場面においても、免震ゴムが地震の被害を少しでも緩和することができれば、当社にとってそれは非常に大きな社会的価値をもたらします。これはまさにゴムだからこそ可能な技術だと考えています。
また、「OPTIFY」のホースに関しては、高圧なものを通しても機能を保ちながら、柔軟性や曲げやすさを持つという特徴があります。この製品を通じて社会やお客さまに価値を提供しながら、社会インフラの維持に寄与していくと考えています。そのため、化工品は当社にとって非常に重要で大切な事業であり、今後もさらに強化していきたいと考えています。
