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メンタルヘルスT Research Memo(3):コストリーダーシップと差別化を両立させ、競争優位を構築(1)

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■事業概要

1. メンタルヘルステクノロジーズ<9218>の事業内容
同社グループは、医療・ヘルスケア分野に特化したBPaaSプロバイダーとして、テクノロジーと専門人材を組み合わせ、働く人のWell-beingを社会実装することを目指している。単一のクラウドサービスや人材を提供するのではなく、クラウド・医療専門人材・運用支援を組み合わせ、顧客の業務プロセスに継続的に関与しながら課題を解決することが、グループに共通する事業思想である。

その背景には、社会構造の変化に伴って顕在化するWell-beingを巡る課題がある。同社は特に、「精神疾患を抱える人の増加」「労働力不足」「少子高齢化」、不妊、発達障害、親・親族の介護など「現役世代が抱える課題」の4つを重要な社会課題として認識している。精神疾患患者の増加に加え、2030年には644万人の人手不足が見込まれるなど、医療・介護をはじめとするエッセンシャルワーカーの人材不足は深刻化している((株)パーソル総合研究所、中央大学「労働市場の未来推計2030」より)。さらに、人口減少・高齢化が進むなか、現役世代が抱える医療・生活上の課題も多様化している。

こうした社会課題に対し、同社グループは大きく2つの事業を成長エンジンとして展開している。1つが企業における従業員の心身の健康管理や休職・復職を支援する「メンタルヘルスソリューション事業」、もう1つが医療機関の人材不足や業務効率化に対応する「メディカルワークシフト事業」である。メンタルヘルスソリューション事業ではメンタルヘルスケアの標準実装を、メディカルワークシフト事業では医療現場におけるワークシフトやDX化を進めることで、働きやすく信頼できる職場環境の構築を目指している。

2. セグメント別概要
(1) メンタルヘルスソリューション事業
メンタルヘルスソリューション事業は、労働安全衛生法に基づく嘱託での産業医サービスを中心に、産業医等による人的サービスとクラウドサービスを組み合わせ、企業の産業保健業務を包括的に支援する事業である。中核サービスの「産業医クラウド」に加え、健康管理室の受託運営からメンタルクリニックの運営支援、休職者のリワーク支援までサービス領域を広げ、従業員の健康管理を総合的に支援するエコシステムを構築している。中核サービスの「産業医クラウド」は、産業医、保健師・看護師、健康管理スタッフ等によるオンライン・オフラインの役務提供と、心身の健康管理を支援するクラウドサービスを一体化したBPaaS型サービスである。顧客企業は自社の課題や予算に応じて必要な機能を組み合わせて利用できる。また、継続契約を基本とするストック型の収益モデルであり、新規契約の積み上げに伴って収益が逓増する。このため、年度前半に獲得した契約の収益寄与が積み上がる下期に収益が伸長しやすい事業特性を有する。

サービス提供においてはグループ各社が役割を分担する。メンタルヘルステクノロジーズ本体がクラウド型メンタルケアサービス「ELPISシリーズ」の開発を担い、Avenir、明照会労働衛生コンサルタント事務所、みらい産業医事務所が「産業医クラウド」を中心とする産業保健サービスを提供する。ヘルスケアDXはメンタルクリニックの運営支援を担う。また、2026年3月に子会社化したインクルードは、就労移行支援・自立訓練事業所「ニューロリワーク」を運営し、メンタル不調者の復職・再就職を支援している。

「ELPISシリーズ」には、ストレスチェック、精神科医等によるカウンセリング、オンライン産業医面談、健康診断データ管理、ヘルスリテラシー向上コンテンツなどがあり、従来産業医が担ってきた業務の一部をクラウド化することで、産業保健業務の効率化と品質向上を図っている。取材によれば、同社が重視するのは、産業医を選任して届け出るだけの「形式運用」ではなく、職場巡視、高ストレス者・長時間労働者への面談、健康診断後の就業判定など、法令が本来求める産業保健活動を実質的に機能させることである。

顧客獲得面では、自社営業に加え、株主である第一生命保険やバリューHR<6078>、業務提携先である(株)商工組合中央金庫などとの連携を活用している。こうしたパートナーが有する幅広い法人顧客基盤を活用することで、新規顧客の獲得を進めている点も同事業の特徴である。さらにインクルードのグループ入りによって、従来は産業保健、医療、リワークに分断されていた支援機能を「産業医クラウド」を軸に統合し、予防・早期発見から休職、治療、職場復帰、再発防止までを一気通貫で支援する体制の構築を進めている。

(2) メディカルワークシフト事業
メディカルワークシフト事業は、2024年2月に子会社化したタスクフォースを中心に展開する医療機関向け人材サービスである。主に大規模急性期病院を対象として、看護補助者を中心に医療秘書や医療事務等の人材を派遣・提供し、医師や看護師が必ずしも担う必要のない業務を他職種へ移管する「タスクシフト」を支援している。これにより、医師・看護師が本来の専門業務に集中できる環境を整え、医療現場の慢性的な人手不足と生産性向上という社会課題の解決を図る事業である。

特徴は、単純な人材派遣にとどまらず、医療現場のオペレーションそのものに関与する点にある。タスクフォースでは総合職スタッフが医療現場に入り、派遣スタッフの教育やシフト管理、病院側との調整などを担うことで、現場運営を支援している。また、正社員登用を軸とする人材確保、採用・教育・評価・キャリア形成の一体運営、教育・評価基準の標準化、シフト調整や欠員対応の一元化など、看護補助者の運営自体を統合管理するモデルを構築している。

同事業では特に大規模急性期病院での実績を蓄積しており、現場業務への理解をベースとした業務改善提案力と、質の高い人材を継続的に供給・管理する組織力を強みとする。現状は人材派遣・業務請負によるBPOが収益基盤となっているが、同社グループが志向する事業モデルはその先にあり、AIやデジタルを活用した業務効率化・省人化支援などを組み合わせ、医療機関の業務プロセス自体を改善するBPaaS型サービスへと提供価値を高めていく考えである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)

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