■精工技研<6834>の業績動向
1. 2026年3月期の連結業績
2026年3月期の業績概要は、売上高が30,087百万円(前期比50.6%増)、営業利益が7,733百万円(同174.5%増)、経常利益が8,139百万円(同173.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が6,210百万円(同179.1%増)となった。主力の光製品部門において、データセンター向けの光部品及び製造機器・装置の需要が高まり、同部門の売上高が20,124百万円(前期比86.6%増)、営業利益が6,668百万円(同199.2%増)と飛躍的に伸長したことが業績を大きくけん引した。精機部門も車載用インサート成形品等の伸長により売上高9,963百万円(同8.3%増)と堅調に推移した。
2. セグメント別業績
セグメント別業績の推移を見ると、かつては両部門が並び立つ構成であったが、現在は光製品部門を中心とした成長構造が鮮明である。2025年3月期には光製品部門が54.0%、精機部門が46.0%と均衡していたが、2026年3月期には光製品部門の構成比が66.9%へと拡大した。光製品部門の2026年3月期の売上高は20,124百万円(前期比86.6%増)と大幅に伸長した。これは生成AIの普及に伴うデータセンター向け光コネクタや製造機器・装置の需要急増が寄与した結果である。一方、精機部門は売上高9,963百万円(同8.3%増)と着実に推移したものの、全社に占める構成比は33.1%に低下した。利益構造の変化も明確であり、光製品部門のセグメント利益率は33.1%に達して高収益セグメントとなっている。過去5期における各セグメント及び地域別の業績推移は以下のとおりである。
(1) 精機関連事業
精機関連事業は、売上高は2022年3月期の8,478百万円から2026年3月期の9,963百万円へと着実に拡大した。特に、2025年3月期から2026年3月期にかけては前期比8.3%増と、成長が加速している。これは主に、xEV(電動車)市場の拡大を背景とした車載用インサート成形品や、医療・バイオ関連向け精密成形品の需要が底堅く推移したことに加え、子会社化したエムジーの業績が通期にわたり寄与したことによる。利益面での改善も進んだ。2022年3月期に381百万円(利益率4.5%)であったセグメント利益は、2026年3月期には1,064百万円(同10.7%)へと伸長した。2025年3月期は一時的に588百万円(同6.4%)へ低下したものの、2026年3月期には利益額が回復し、利益率は過去5期で最高となる2ケタ台となった。高付加価値製品へのシフトや、内製化・自動化による製造力の強化が奏功した。
(2) 光製品関連事業
光製品関連事業は、売上高は2022年3月期の7,710百万円から推移し、2026年3月期には20,124百万円(前期比86.6%増)へと飛躍的に拡大した。これは、生成AIの普及に伴うデータセンター向け光コネクタや、関連する製造機器・装置の需要急増を的確に取り込んだ結果である。利益面では、売上高を上回る大幅な伸長となった。2022年3月期のセグメント利益は1,143百万円(利益率14.8%)であったが、2026年3月期には6,668百万円(同33.1%)へと急伸した。増収効果に加え、高付加価値製品の比率上昇や稼働率の向上が利益率を大きく押し上げた。同事業は全社利益の8割以上を稼ぎ出す最大の収益源となり、連結業績をけん引する主動力へと成長した。
(3) 地域別売上高
地域別の売上高推移を見ると、同社の成長は海外市場、特に北米市場の急拡大によって支えられている。連結売上高は2022年3月期の16,188百万円から、2026年3月期には30,087百万円となり、ほぼ倍増した。地域別構成において最も顕著な変化は北南米市場である。2022年3月期には2,029百万円であった売上高が、2026年3月期には8,758百万円へと4倍を超える水準へ成長し、最大の海外市場となった。これは、生成AIの普及に伴うデータセンター投資が北米を中心に活発化したためである。
一方で、最大市場である日本国内は、9,629百万円から11,918百万円へと増収ながらも、海外の急成長に伴い全体に占める構成比は低下した。アジア市場については、2026年3月期は3,652百万円と堅調な推移となった。海外売上高比率は2022年3月期の約4割から2026年3月期には約6割まで上昇しており、グローバル展開が加速している。
3. 財務状況
同社の財務状況は、着実な資産の拡大を進めながらも、健全な財務基盤を維持している点が大きな特徴である。2026年3月期末の資産合計は41,692百万円となり、前期末比で7,308百万円と大幅に増加した。その主な要因は流動資産の伸長(前期末比6,821百万円増)にあり、特に現金及び預金が18,021百万円(同3,949百万円増)、売掛金が6,718百万円(同1,631百万円増)に上った。これは本業での堅調なキャッシュ創出力と、売上の急拡大に伴う債権増加を反映したものと言える。一方、負債合計は7,650百万円(前期末比1,411百万円増)にとどまっており、純資産(負債純資産合計との差額)は34,041百万円(同5,897百万円増)へと積み上がった。自己資本比率は81.2%と高い水準を維持し、現金及び預金が流動負債(6,257百万円)の約3倍に及ぶなど、支払能力と財務の健全性は盤石である。豊富な手元流動性を背景に、今後の設備投資やM&A等の成長戦略を柔軟に推進できる良好な財務体質を構築している。
同社のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フロー(以下、営業CF)の大幅な増加を原資として、投資と株主還元を積極的に推進した結果、着実な推移を見せた。2026年3月期の営業CFは5,484百万円となり、前期の3,068百万円から約1.8倍に急増した。これは主に、税金等調整前当期純利益の拡大が寄与したものである。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得等により879百万円の支出となったが、営業CFの範囲内に収まった。その結果、最終的な現金及び現金同等物の期末残高は11,255百万円(前期比3,935百万円増)へ拡大した。収益力の向上が着実な手元資金の蓄積へと結びついている。
同社の経営指標は、2022年3月期から2026年3月期にかけての5期において、収益性と効率性の両面で大幅な改善を遂げている。1株当たり当期純利益(EPS)は、2022年3月期の126.05円から、2026年3月期には695.65円へと約5.5倍に急伸した。特に前期の245.34円からは約2.8倍に増加しており、利益成長が加速している。この収益力の強化に伴い、資本効率も大幅に向上した。自己資本当期純利益率(ROE)は、2022年3月期の4.6%から右肩上がりに推移し、2026年3月期には20.1%に達した。総資産経常利益率(ROA)についても、2022年3月期の5.5%から2026年3月期には21.4%へと上昇している。財務基盤の強化に伴い総資産が拡大するなかでも、高いROA・ROEを維持した。資産拡大のペースを上回る利益成長により、高効率かつ高収益な経営体質への移行が明確になったと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山 博詞)
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