■トレンダーズ<6069>の今後の見通し
2. 中期経営目標と成長戦略
2025年5月に新中期経営目標(2026年3月期~2029年3月期)を策定し、営業利益の目標CAGRとして、25~30%を掲げた。2021年3月期から2025年3月期のCAGR実績21%との比較では、4~9ポイント増と、利益面のさらなる成長を図る計画だ。なお、M&Aや成長投資を積極化する方針から営業利益目標は設定していない。初年度の2026年3月期は営業利益が前期比減となったが、その主因はM&A等の将来に向けた成長投資を行ったことによるものだ。既に減益要因分析や挽回に向けた対策を進めており、2027年3月期以降の動向が注目される。
同社は、長期成長ビジョンとして、2013年3月期からを「構造改革期」、2019年3月期からを「成長期」、2024年3月期からを「事業変革期」、2028年3月期からを「再成長期」と定義付け、各種施策を遂行している。「事業変革期」に位置する2027年3月期は、ビジネスモデルを従来のSNSマーケティング中心から、商品購入や顧客体験まで網羅するSNSとECを連携したリテールマーケティングへ変革を進めている。これまでの、商品の話題作りや情報拡散といった、商品の認知を目的とするSNSマーケティングから、商品認知の先にある体験、購入まで網羅し成長を図る。この改革に向け、2024年には美容系総合サイト「@cosme」や化粧品専門店「@cosme STORE」を擁し、「店頭×SNS」に強みを持つアイスタイルと資本業務提携を開始し、2025年にはイベント企画から運営までプロデュースするzenplusを、ECコンサルティング事業を手掛けるしるしを子会社化した。これにより商品を「知る」「体験する」「購入する」一連のイベントをカバーする体制が整った。
さらに同社はこれらイベントをAI活用によりシームレスにつなぎ、顧客に商品価値を正しく伝え、顧客体験を最適化することで最終的に商品購買につなげるリテールマーケティングの提供を目指す。現在はAI活用によりSNSのモニタリングや広告効果予測、熱量分析などを行っており、引き続きECサイトでの商品購買状況やリアル店舗での顧客の反応等のデータを取り込むことで、これらのイベントの効果的な連携のためのソリューションを開発していく。生成AIやAIエージェントの活用を経営戦略の中核に位置付け、グループ全体への実装・展開を加速させる方針だ。なお、最終ステージの「再成長期」には、リテールマーケティング企業としての成長を目指し、海外事業の展開や継続的なM&Aを実施する計画である。
事業別の成長戦略として、マーケティング事業では、インフルエンサーマーケティングにおいて美容以外の顧客カテゴリ(ヘアケア、オーラルケアなど)でのビジネス拡大を目指す。また、しるしとの連携によるEC連携サービスの開発と展開に注力する。Mimi Beautyではリアル体験とコミュニティの強化による顧客の拡大を目指す。公式アカウントの総フォロワー数は2026年4月時点で約593万人を擁しており、SNS上でのUGC創出やオフラインイベント、UGCを活用したSNS広告施策等のソリューションを提供する。イベント分野においては、営業体制の強化やVIP(大口顧客)戦略による継続的な成長を目指し、zenplusの業績を支える大口顧客との間で強固なリレーションを築き、長期の安定的な取引関係を構築する。また新規領域として、米国子会社やアイスタイルの韓国子会社などのネットワークを活用し、海外拡販支援を行う。メディカル領域では再生医療にリソースを集中し、2027年3月期中の収益化を目指す。
ECコンサルティング事業においては、AIを活用して運用体制を強化し、営業力強化に向け営業組織を構築する。前者では、業務の効率化から生産性向上でコスト削減を図るほか、浮いたリソースを営業活動などに振り向ける。後者については、しるしでの人材補強に加え、同社から人員を出向の形で提供し、支援する。インベストメント事業では、営業投資有価証券運用として、社債の利息で安定収益を計上し、さらに株式などの売却でアップサイドをねらう。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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