■戸田工業<4100>の今後の見通し
● 2027年3月期通期の業績見通し
2027年3月期の業績見通しは、売上高で前期比3.4%増の29,000百万円、営業利益で同16.0%増の1,000百万円、経常利益で1,100百万円(前期は77百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益で500百万円(前期は3,455百万円の損失)を見込んでいる。モビリティ分野やAI分野を中心とした需要拡大を背景に、誘電体材料及び軟磁性材料の販売拡大を見込むほか、不採算事業からの撤退による収益構造改革も寄与し、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益の黒字転換を計画している。営業利益率は前期の3.1%から3.4%へ改善する見通しである。なお、中東情勢については現時点で合理的な見積もりが困難であることから業績予想には織り込んでいない。
各事業、セグメントについての売上高、営業利益の見込みは以下のとおりである。
(1) 電子素材
a) 磁石材料(成長事業)
磁石材料は売上高116億円(前期比3億円増)、営業利益13億円(前期比横ばい)を見込む。車載モーターやセンサー向けを中心に堅調な需要を見込むほか、EV向け熱マネジメント用途であるウォーターポンプ向け需要の拡大も期待される。中国で買収した成形体メーカーとのシナジー創出に加え、粉体、コンパウンド、成形体までを一貫供給できる体制を生かし、販売拡大を図る。また、日本、中国、タイの複数拠点による供給体制を構築しており、地政学リスクへの対応力も強みとなっている。利益面では前期に実施した原価低減や歩留まり改善の効果が継続し、高い収益性を維持する見通しである。
b) 誘電体材料(成長事業)
誘電体材料は売上高21億円(前期比2億円増)、営業利益0億円(前期比1億円増)を見込む。売上高は前期に続き過去最高を更新する計画である。AIサーバー向け需要の拡大に加え、スマートフォンの高機能化を背景にMLCC需要が増加している。AIサーバーでは高性能化に伴いMLCCの搭載数量が増加しているほか、小型化・多層化・低背化の進展により高性能な誘電体材料へのニーズも高まっている。同社は水熱合成技術による微細で均一な粒子製造を強みとしており、こうした市場拡大の恩恵を取り込む。一方で、分散体などの高付加価値製品の開発や能力増強を継続していることから、利益面は先行投資負担を織り込んでいる。
c) 軟磁性材料(次世代事業)
軟磁性材料は売上高64億円(前期比4億円増)、営業損失2億円(前期は7億円の損失)を見込む。前期は韓国子会社の戸田マテリアルズ(株)(TDMI)が、中国市場における価格競争激化の影響を受けたものの、2027年3月期は収益改善局面に入る見通しである。AIサーバー向け低損失メタル材料や車載電子機器向け電磁波ノイズ対策材料の需要拡大を見込むほか、TDMIにおいて新規事業立ち上げやコストダウンを進めることで収益改善を図る。経営陣は同材料を重要な成長領域として位置付けており、復権に向けた取り組みを加速している。
d) LIB用前駆体(再生・転換事業)
LIB用前駆体は売上高2億円(前期比2億円減)、営業利益0億円(前期比1億円減)を見込む。TAMの解散・清算決定を受け、事業規模は縮小する見通しである。同社はLIB関連事業について事業ポートフォリオの見直しを進めており、経営資源を磁石材料、誘電体材料、軟磁性材料などの成長分野へシフトしている。
e) ハイドロタルサイト(再生・転換事業)
ハイドロタルサイトは売上高5億円(前期比横ばい)、営業損失1億円(前期比横ばい)を見込む。協業解消後の事業再構築が継続している段階にあり、大幅な売上成長は見込んでいない。一方で、人員配置や設備運営の効率化を進めることで損失縮小を図る。
(2) 機能性顔料
a) 着色顔料・トナー用材料(再生・転換事業)
着色顔料・トナー用材料は売上高64億円(前期比1億円増)、営業損失2億円(前期は1億円の利益)を見込む。複写機・プリンター向けは成熟市場となっているものの、引き続きコストダウンや製品構成の見直しを進める。前期は価格是正や原価低減により黒字化を達成したが、2027年3月期は製品ミックスの変化などを織り込み、保守的な利益計画としている。
b) 触媒など(収益基盤事業)
触媒などは売上高18億円(前期比2億円増)、営業利益3億円(前期比1億円増)を見込む。主力のスチレンモノマー向け触媒の販売拡大に加え、データセンター向け記録材料需要の拡大も追い風となる見通しである。AIの普及に伴うデータ量増加を背景に、LTOバックアップテープ向け記録材料の需要拡大が続いており、収益基盤事業として安定的な利益創出を担う計画である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
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