■アイリックコーポレーション<7325>の事業概要
4. ソリューション事業
ソリューション事業は、金融機関・保険代理店・企業代理店向け「AS」シリーズの開発・販売、金融機関向け「スマートOCR」の販売を展開している。主力の生命保険の現状把握・検索提案システム「ASシステム」は「保険IQシステム」を汎用化したシステム、保険申込ナビゲーションシステム「AS-BOX」は「保険IQシステム」または「ASシステム」の機能のうち既契約の証券分析機能が搭載されていない簡易版システムである。2026年8月には「ASシステム」及び「AS-BOX」において、新たに比較提案の証跡管理機能の提供を開始した。また企業内代理店・地方公共団体向け「職域ロボアドバイザー」(以下、職域ロボアド)は2024年 5月にリニューアルし、全国の職域マーケット(グループ保険を取り扱っている保険代理店)向けに販売を拡大した。
新商品開発としては、2025年6月に同社を含む6社(同社、(株)LHL、LHLグループの(株)ライフサロン、(株)ライフプラザパートナーズ、(株)ほけんの110番、AZPower(株))共同で、生成AIを活用した保険業界特化型の情報検索「AS FiNDER」をリリースした。保険募集人の業務生産性向上とDX推進を図るクラウドサービスで、同年11月には損害保険分野を対象にアップデートを実施した。同年6月には保険募集人向けプラットフォーム「AS platform」をリリースした。保険募集人が業務に必要な情報を効率的に収集・活用できるオンラインコミュニティ型の業務支援ツールで、2026年3月には登録ユーザー数が10,000IDを突破(登録代理店数204社)した。2026年1月の5,000ID突破から2ヶ月でID登録数が倍増した。生命保険募集人約118万人市場をメインターゲットとしてプラットフォーム戦略を推進する。
ソリューション事業の主な収益は、「AS」シリーズ導入ID数に基づいたシステム利用料(初期登録料、サブスクリプション方式の月額利用料)、保険販売コンサルティング売上、金融機関向け「スマートOCR」売上、その他ソリューション売上などである。
ソリューション事業の主要KPIは、保険会社を除く代理店・銀行向け「AS」シリーズID数が2022年6月期末5,816ID、2023年6月期末6,280ID、2024年6月期末6,908ID、2025年6月期末7,073ID、2026年6月期末7,782IDと順調に増加している。
5. システム事業
システム事業はインフォディオが「スマートOCR」を中心とするAIプロダクト・クラウドサービスの開発・販売、システム受託開発を展開している。「スマートOCR」は、定型・非定型の数千万枚の手書き・活字の文書等を認識してデータ化できるエンタープライズ向けシステムである。単に手書き・活字の文字変換を行うだけでなく、マスターデータ連携・自動処理、高いセキュリティ、スマホアプリ等も備えた総合システムとして高い評価を得ており、保険用途にとどまらず幅広く企業・官公庁等のデジタル化・ペーパーレス化に寄与している。
「スマートOCR」の主な収益は、初期費用+定額制の月額収益(サブスクリプション)、処理枚数が増えるほど収益が増加する従量課金制収益(リカーリング)、及び開発+長期利用契約の個別開発収益(カスタムシステム)の3種類となっている。顧客ニーズに合わせて柔軟にカスタマイズできることが特長・強みである。販売はソリューション事業が金融機関向け、システム事業が官公庁・一般企業向けを中心に展開している。
主要な導入事例としてリカーリング型では(株)みずほ銀行がある。2021年11月に、みずほ銀行の経理業務効率化支援サービス「みずほデジタルアカウンティング」に「スマートOCR」が搭載された。個別開発型では(独)統計センター(2020年11月に「AI技術を用いた文字認識サービスの提供業務」を受託、令和2年国勢調査等において定型帳票の手書き文字の認識に使用)、埼玉県警察(2021年12月に「スマートOCR」を導入)、法務省矯正研修所(2021年5月に「効果検証用OCR機器の賃貸借」を受託)、国税庁課税部個人課税課(2021年4月に国税庁の「確定申告書等作成コーナーの源泉徴収票OCR機能に係る開発及び機器等の提供等」を受託)などがある。このほか、2020年12月に(株)JTBが「スマートOCR」を組み込んで独自開発した「証憑書類電子保存化システム」が稼働開始、2021年3月に(株)日立ソリューションズがビジネスデータ活用支援「活文」に「スマートOCR」を採用、同年10月にはなさく生命保険(株)が「スマートOCR健康診断書」を導入した。
サービスラインナップ強化では、「スマートOCR」の汎用パッケージとして「請求書」「領収書・レシート」「名刺」「運転免許証」「健康保険証」「源泉徴収票」「決算書」「通帳」「健康診断書」などをリリースしている。さらにAI-OCR技術を活用し、2021年12月に改正電子帳簿保存法に対応したクラウドサービス「DenHo(R)(デンホー)」(以下、DenHo)を、2024年1月に「DenHo」の高機能バージョンという位置付けで文書管理プラットフォーム「brox(R)(ブロックス)」(以下、brox)を、同年12月に「brox」と生成AIを組み合わせたマルチドキュメントAIプラットフォーム「brox-AI」をリリースした。2026年3月には、各種申請書類の審査・承認・判定業務を自動化するAIエージェント「書審AI(ショシン エーアイ)をリリースした。
また(株)アシスト及びUbicomホールディングス<3937>と共同開発した生命保険エコシステム「生命保険給付金支払いプラットフォーム」は、支払い査定業務をデジタル化することで顧客サービス向上と査定業務自働化・事務効率向上を実現するプラットフォームで、2021年11月にチューリッヒ生命保険(株)、2022年2月にメディケア生命保険(株)、同年4月にアイアル少額短期保険(株)、2023年7月にネオファースト生命保険(株)に採用された。
新領域への展開としては、2022年5月にアミフィアブル(株)が開発したテスト工数削減AIアプリ「MELT.II」に「スマートOCR」が搭載され、国内IT市場で6.4兆円規模になると想定されるテスト市場での活用が開始された。同年8月には(株)flixy(2023年9月にアンター(株)に吸収合併)の「メルプWEB問診」に「スマートOCR」のオプション機能である「スマートOCRクリエイトフォーム」を搭載し、共同で全国の医療機関に展開している。2025年4月にはインフォディオがニーズウェル<3992>と業務提携した。
システム事業の直近の主要KPIでは、「スマートOCR」を中心とするAIプロダクト・クラウドサービスの導入増加によってストック売上が順調に拡大している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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