■Lib Work<1431>の事業概要
4. 3DP住宅事業、Housing OS事業へ展開の続き
(3) AIや暗号資産を活用した世界初の「住宅資産デジタルプラットフォーム」構築を目指す
同社は3DP住宅事業やHousing OS事業の拡大を推進するほか、将来的にはAIや暗号資産も活用して世界初の「住宅資産デジタルプラットフォーム」構築を目指す。2025年3月には、先進的な生成AI技術を有するカナダのMaket Technologies Inc.と共同で、生成AIを活用した住宅設計の自動化プロジェクトを開始した。同社が保有する膨大な住宅図面データをMaket TechnologiesのAIプラットフォームに学習させ、日本市場向けの最適な間取り自動生成システムを構築する。
同年7月には3DP住宅において、デジタル設計データをNFT(非代替性トークン)として発行することにより設計・所有の透明性と価値を革新するとともに、グローバルでの販売拡大に向けて暗号資産(ビットコイン等)による決済を可能にする方針を打ち出した。同年9月にはアステリア<3853>と業務提携し、3DP住宅の設計データ等の改ざん防止を実現するNFT基盤「住宅資産デジタルプラットフォーム」の構築に着手した。またアステリアのASTERIA Warpを活用し、3DP住宅をはじめ同社が施工する住宅の支払を暗号資産で受け付けることも計画している。
2026年5月には子会社リブサービスとともに、住宅・不動産業界向け自動追客・商談管理ツール「KASIKA」を提供するCocolive<137A>と、AI時代の住宅業界DXの推進を目的に戦略的業務提携を開始した。同社グループが有する住宅事業におけるデジタル集客・営業ノウハウと、Cocoliveが有する反響後の追客・商談管理の知見を掛け合わせ、工務店・ビルダー支援プラットフォームの拡充を推進する。
自然災害や法改正等の影響がリスク要因
5. リスク要因・収益特性と課題・対策
戸建住宅業界の一般的なリスク要因としては、経済動向・不動産市況、金利動向、木材・住設機器等の建築資材価格動向、自然災害、カーボンニュートラルや地震対策等に関する建築基準法改正や法的規制などが挙げられる。また季節要因として戸建住宅の引き渡しが第2四半期の12月と期末の6月に偏重する傾向がある。
自然災害や建築基準法改正の影響として2016年6月期に熊本地震の影響、2020年6月期にコロナ禍の影響、2023年6月期に「第3次ウッドショック」と呼ばれる木材価格高騰と調達難の影響、2026年6月期に建築基準法改正の影響(確認審査の長期化による着工・引き渡しの後ろ倒し)を受けたが、こうした一時的要因を除けば、日本全体の住宅市場(特に持家市場)が伸び悩むなかでも、同社の業績はおおむね拡大トレンドとなっている。これは、同社のデジタルマーケティングをコアコンピタンスとする独自の集客手法の競合優位性を示すものと考えられる。
また同社は建築資材価格高騰への対応策及び売上総利益率向上策として、主要5工種の内製化やDX活用による施工管理業務効率化を推進するとともに、幸の国木材工業を子会社化してグループ内の木材安定供給体制を構築した。さらに同社が展開する営業エリアの経済動向として、半導体受託製造の世界最大手であるTaiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited(TSMC)が熊本県菊陽町に進出し、これに伴って関連企業の進出も相次いでいるため、熊本県を中心に九州圏における住宅需要が増加している。この点も同社にとって業績拡大の追い風につながると考えられる。
■業績動向
2026年6月期は一過性要因で減収減益だが、売上総利益率改善
1. 2026年6月期連結業績の概要
2026年6月期の連結業績は、売上高が前期比2.0%減の15,679百万円、営業利益が同36.6%減の527百万円、経常利益が同66.6%減の285百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同79.2%減の103百万円と減収減益だった。2025年4月施行の建築基準法改正(いわゆる「4号特例」の縮小)に伴い、建築確認審査から着工までの期間が長期化した影響で着工・引き渡し時期が後ろ倒しとなった。ただし契約キャンセル等は発生していない。
全社ベースの売上総利益は同1.9%増加し、売上総利益率は同1.1ポイント上昇して28.5%(うち注文住宅の粗利率は同0.2ポイント上昇して30.2%)となった。売上高が建築基準法改正という一過性要因の影響で減少し、建築資材価格も高止まりの状況が継続したが、価格適正化や原価低減効果(幸の国木材工業と連携した木材原価削減、内製化進展による外注費削減、DXによる業務効率化、タクエーホームの在庫削減など)により売上総利益率が改善した。販管費は人的投資に伴う人件費の増加、3DP住宅開発費の増加、広告宣伝費の増加などにより同10.9%増加し、販管費比率は同3.0ポイント上昇して25.2%となった。この結果、営業利益率は同1.8ポイント低下して3.4%となった。また営業外費用で暗号資産評価損225百万円を計上、特別損失で一部店舗の早期撤退に伴って減損損失47百万円を計上した。
前回予想(2025年11月12日付の修正値、売上高15,000百万円、営業利益500百万円、経常利益520百万円、親会社株主に帰属する当期純利益190百万円)との比較では、売上高と営業利益は前回予想を上回ったが、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は一過性要因の暗号資産評価損計上などにより前回予想を下回った。
財務の健全性を維持
2. 財務の状況
財務面で見ると2026年6月期末の資産合計は前期末比1,970百万円増加して13,494百万円となった。主に現金及び預金が同478百万円減少した一方で、販売用不動産が同970百万円増加、仕掛販売用不動産が同1,099百万円増加したほか、暗号資産(ビットコイン)274百万円を計上した。負債合計は同2,005百万円増加して8,814百万円となった。有利子負債残高(長短借入金と社債の合計)が同2,026百万円増加して5,832百万円となった。純資産合計は同34百万円減少して4,679百万円となった。主に利益剰余金が同47百万円減少した。この結果、自己資本比率は同6.2ポイント低下して34.7%となった。中長期的には有利子負債の削減や自己資本比率の向上が課題となるものの、現時点で特に懸念材料は見当たらず、財務の健全性が維持されていると弊社では判断している。
なお同社は財務戦略の一環として、資産ポートフォリオの多様化と中長期的な価値保全を目的に、2025年8月に暗号資産(ビットコイン)の継続的取得及び中長期保有方針を決定し、SBIホールディングス<8473>の連結子会社で暗号資産交換業を営むSBI VC トレード(株)とビットコイン取引・保管・運用で連携を開始した。そして同年9月末に約5億円のビットコイン取得を完了(保有残高は四半期ごとに時価評価を実施)した。今後は3DP住宅のNFT化事業との連動、3DP住宅のビットコイン決済対応によるグローバル取引拡大を含む「デジタル資産戦略」を推進する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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