しかし、今回のように、構造的には分けられるものまで1棟扱いし、全体を全戸の区分所有者が共有している場合の部分建替えの合意形成の困難さについても改めて認識させられた訳です。
一団地認定で複数棟を同一敷地に建てた場合の増改築の大変さについて過去記事で書きましたが、それだけ、一団地認定には、敷地内の建物間の日照権の問題にも厳しい指導があるのです。それを嫌っての1棟扱いもあるようです。
建築主事の方から、最近目立つ、複数棟を強引につないで1棟として申請するのは、一団地認定だとすると、隣棟への4時間日照の確保等、特定行政庁が決めた基準であれこれ指導されるので、1棟としなければ、あの規模のものが建たないという少しでも売れる床を増やしたい売主側の事情があるという指摘を頂きました。
昔、山野を切り開いて、又は埋め立てをして、団地を大量に建設したのは、都市の住宅不足を解消するという大きな社会的な使命があってのことでした。人口が減少に転じ、空室が大きな問題となっている昨今、こんな、将来の様々な問題を内在した1棟のメガマンションを大量に供給する必要があるのか…と考えさせられます。
ヨーロッパでは、このような巨大な集合住宅を造ることは認めないのが一般的です。人がそんなに地面から離れた高いところに住むべきではないということで、超高層マンションが禁止されている国もあります。
経済効率、スケールメリットの論理でつくられたものは、これからの人口減少時代にかえって足かせになるのではないかという気がしてなりません。
商業施設と組み合されたメガマンションも今後もどんどん建設されますが、これもちょっと心配です。大体、こんなに商業施設がいるのかしら…と。
子育て世代が数多く暮らし、大いなる消費をもたらす期間はマンションの寿命から見たらほんの短い間です。
団地内の商店やスーパーマーケットが次々に撤退して、シャッター商店街になってしまった…という、今、高経年団地が直面しているような問題に、近年の商業施設とセットのメガマンションが遭遇する未来が見えてしまうのは、私だけでしょうか。
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『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』
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