ディズニーランドから牛タン屋まで…企業が「感動」で成功する理由

 

ザ・リッツ・カールトンの感動システムを詳しく見ていきます。

根幹をなすのは企業理念で、“クレド”には「お客様が経験されるもの、それは感覚を満たすここちよさ、満ち足りた幸福感そしてお客様が言葉にされない願望やニーズをも先読みしてお応えするサービスの心です」と感動への宣言がなされています。

“サービスの3ステップ”の一番目に「あたたかい、心からのごあいさつを。お客様をお名前でお呼びします。」とあり、名前はもちろん“ふともらされた呟き”や態度から得られる情報をデータベース化し共有化し次回のおもてなしに活かされます。

ヒューマンな手法だけでなく、すべての手法が活用されます。

「従業員への約束」では、「お約束したサービスを提供する上で『紳士・淑女』こそがもっとも大切な資源です。」とし、続いて「個人と会社のためになるよう持てる才能を育成し、最大限に伸ばします。」とあり、スタッフが紳士・淑女となることを奨励しかつ教育を惜しみなく行い、さらに年数回の「従業員満足度調査」でもって確認しています。

紳士・淑女となったスタッフを鼓舞する制度も行われています。

ファイブスター制度で、3か月に1度各部署から1名が選ばれその中から5名をファイブスター社員として選抜され5つ星マークがつきます。さらに年間20名の中から5名が最優秀ファイブスター社員に選ばれ、マークの中に加えて宝石マークがつきます。

同社の採用時には、最初にパート、アルバイトにかかわらず、クレド(経営哲学)についての丸2日間の研修が行われます。入社1年目には300時間の研修が行われ、毎日各セクションで15分のクレドについてミーティングが行われます。

ザ・リッツ・カールトンは、システムを通してクレド品質を維持しています。

システムはそこで働く人をして、成果を実現するために一定の方向に誘導していく効果があります。普通の人をして非凡な人に成長できる機会を提供します。ただし、「システム」はプラス面ばかりに働くのではなく、過剰になったり運用を間違えると地獄の特訓にも成り下がる危険をも含みます。

image by: Shutterstock

 

戦略経営の「よもやま話」
著者/浅井良一
戦略経営のためには、各業務部門のシステム化が必要です。またその各部門のシステムを、ミッションの実現のために有機的に結合させていかなければなりません。それと同時に正しい戦略経営の知識と知恵を身につけなければなりません。ここでは、よもやま話として基本的なマネジメントの話も併せて紹介します。
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