「事実」より「政治」が優先される世界
では、なぜ欧米の指導者は、
- トルコがISから大量に石油を買っている
- ISはそれで潤い、テロを行っている
事実を意図的に無視するのでしょうか?
考えられる理由は二つです。
- トルコはNATO加盟国、つまり欧米の「同盟国」だから
- ISはテロもするが、同時にアサドとも戦う「都合のいい存在」だから
私は、「どっちもそうだろう」と思っています。
私たちは、「中ロは独裁国家で悪」と思っています。
そして、「欧米は、人権、民主主義を守る善なる存在」と信じています。
しかし、そういう信仰は、「ナイーブすぎる」ということですね。
わかりやすい例を。
日本人の大部分は、アメリカについて、
「反独裁で世界の民主化を推進している」
と信じています。
実際、アメリカは、イラクのフセインを倒し、リビアのカダフィを倒し、今はシリアのアサドと戦っている。
一方で私たちは、アメリカが、【絶対君主制】の人権侵害国家サウジアラビアと昵懇の関係であったことを知っています。
「あれ~~~、確かにサウジも独裁だよね~~~~??」
つまりアメリカにとって、「親米独裁者=善」であり、「反米独裁者(フセイン、アサド)=悪」ということなのです。
このことは、ナイーブで平和ボケしている私たち日本人に大きな教訓を与えてくれます。
私たちは、「日本軍が韓国人女性20万人を強制連行し、性奴隷にした」という韓国の主張は「ウソである」証拠をたくさんもっています。
例:米軍報告書1944年
動画はコチラ
報告書はコチラ
しかし、この「圧倒的な証拠」を提示しても、しばしば「完全スルー」され、深く傷ついている。
「完全スルー」はなぜかというと、要するに、「事実より、政治的意図が優先されている」ということなのです。
「ISとトルコの石油密輸問題」も同じですね。
あるいは、米中が、「日本の世界征服計画書」=「田中メモリアル」を「偽書」と知りながら、大いに活用したのも、同じ構図。
だから、「情報戦」を戦う私たちは、「事実」も大事ですが、もっと上のレベル、「政策」「大戦略」のレベルで懐柔していく必要があるのです。
image by: Shutterstock
『ロシア政治経済ジャーナル』
著者/北野幸伯
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