外国人から日本人へ。景気の調整弁として利用される「派遣」の闇

2015.12.07
by sakky(まぐまぐ編集部)
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世界的に移民・難民問題が取りざたされるなか、日本は不法就労の外国人労働者をいわゆる「景気の調整弁」として利用してきた歴史があります。メルマガ『uttiiの電子版ウォッチ』は、外国人労働者を使い勝手よく利用してきたこのノウハウが、大量解雇などの問題を抱える今の派遣システムの原型になったのではないか、との持論を展開しています。

移民・難民と外国人労働者

私は日系ブラジル人が大量に「受け入れ」られていた頃、外国人をテーマにいくつか取材を経験しました。単純労働に従事する外国人労働者法的に拒否し続けている日本は、「労働鎖国」などと揶揄されることがあります。その日本は、実際には、欺瞞的なやり方で外国人労働者を便利に使ってきたのです。

人手が不足していた時期、一定範囲の日系人は入管法改正によって、日本国内でどんな仕事にも就ける地位を付与され、派遣会社の手によって各地の自動車工場、家電工場などに送り込まれていきました。その数、30万人以上。他方、就労可能なビザを取得できない大多数の外国人は、短期滞在で来日してはオーバーステイとなり、買いたたかれて3K職場に吸い込まれていったようです。

当時、外国人労働者を受け入れる方向に政策転換するか否かについて、それなりに活発な論議も行われました。労働省(当時)関連のシンクタンクは、どのような形で移民労働者を受け入れれば日本社会にとってプラスになるかを研究して、独身かせいぜいカップルまででなければ、逆に社会的費用がかさむというような、冷徹な「計算」を行っていました。子どもが生まれれば教育や福祉の対象として「金が掛かってしまう」から元も子もないという話だったのです。要は、奴隷的な労働者が欲しかっただけで、「同じ社会のメンバー」を求めていたわけではなかったのです。結局、人手不足が緩和されるのと機を一に、議論自体、しぼんでいきました。

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