海と山なら、山に住んだ方が肺がんリスクは低くなるらしい ―米研究結果

yamaumi
 

海と山、みなさんは住むとしたらどちらがいいですか? どちらも捨てがたいですが、気になる研究結果が発表されています。それは「山に住む人は、海に住む人より肺癌リスクが低い」!な、なんだってーと叫びたくなる気持ちはさておき、メルマガ『e-doctor ドクタースマートの医学なんでも相談室』で詳しく解説していますのでぜひご一読を!

肺ガンと酸素には関係があるかもしれない!?

今日は、山に住む人は、海に住む人より肺癌リスクが低いんだって? というお話です。

山に住む人は、海の近くに住む人よりも肺がんリスクが低い可能性があるそうです。米国西部の地域の研究で、標高が1,000m上がる毎に肺癌の発症率が10万人当たり7人以上減少することが明らかにされました。

しかし、米国肺協会のEdelman氏は、「デンバーに住んでいれば喫煙してもよいということではない」と述べ、標高自体が肺癌リスクに差をもたらす理由であるのかも不明であると指摘しています。

研究グループの1人である米カリフォルニア大学サンフランシスコ校の大学院生Simeonov氏もこれに同意する一方、今回の知見は吸入する酸素が肺癌に関与するという仮説を裏づけるものだとも述べています。

標高が高くなると気圧が下がり、吸入する酸素が少なくなります。酸素は生きるために必要なものですが、代謝によって活性酸素という望ましくない副産物が生じてしまいます。この活性酸素が徐々に身体の細胞を傷つけ、癌をはじめとする色々な疾患に関係すると云われているのです。

マウスを用いた最近の研究では、酸素への曝露を減らすと腫瘍の発生が遅くなることが明らかにされていますが、ヒトの癌リスクへの効果は分かっていません。

もちろん、標高によって変わるのは酸素だけではなく、Simeonov氏らは日光曝露や大気汚染などの変数についても検討したが、いずれも標高と肺癌の関連を説明することはできなかったそうで、標高以外の喫煙や肥満の比率、教育、収入、人種などの人口統計学的な差異についても同様であったそうです。

この知見から、抗酸化物質が肺癌予防に有効なのではないかと考える人もいるでしょう。

しかし、Edelman氏は「今回の研究からそこまで飛躍することはできない」と強調してます。抗酸化物質の豊富な食事が肺癌リスクを低減するとのエビデンスがある一方、マウスの研究では抗酸化物質のサプリメントが肺癌の進行を早めることも示されているからです。

海の近くに住むなら、高い山の上に住む方がいいんですね。やっぱり、高い山の上に住むのは、気持ちがいいですよね。

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