【復興石巻】老舗缶詰めメーカーの復興へのみちのり ~缶闘記 その1~東北まぐアーカイブ

2011.08.11
by よっすぃ~♪(まぐまぐ編集部)
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復興へのみちのり ~缶闘記 その1~

被災した水産業者が次々と廃業を決める中、老舗缶詰めメーカーが果敢にも会社の再建にのり出した。かろうじて柱と壁の一部が残された倉庫で、残骸に埋もれた商品を掘り起こし、事業復活に希望をつなぐ人々がいる。ふたたび人の行き交う街を目指して、復興へあゆみ始めた被災地の街。木の屋石巻水産の挑戦を通して、その長いみちのりを追いかけてみる。
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3月11日、まっ黒い水の壁が押し寄せ、石巻の街を飲み込んだ。三陸金華山沖の豊かな漁場にめぐまれ、日本有数の水揚げ高を誇った石巻漁港は、またたく間に重油まみれの泥に覆い尽くされた。沿岸部にあった200社近い水産加工工場も全てのラインが停止した。

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木村優哉さん

「電柱に捕まって津波の引き潮に耐えていたら、横を小学生ぐらいの男の子が流されていったんです。手を伸ばしたが届かなくて・・・」「雪がちらつく神社の境内でブルーシートをかぶって一晩過ごし、ようやく避難所にたどり着いたら食べるものがなかった。逃げる時にとっさにポケットに入れた缶詰があったから、皆でわけて食べました」被災直後の壮絶な状況を、木の屋石巻水産の社員は、静かに語ってくれた。

4、5日経って水が引き始めた為、社員の木村さんが工場を見に行くと「どこが入り口かもわからない状態」で愕然としたという。この頃になると、一部の社員が工場にあつまって、お互いの安否を確かめ合うようになっていた。水や食料の確保など生きのびる為の情報交換が主な話題で、会社再建の話が出てくるような状況ではなかったという。 しかしこのあと、東京から支援物資を運んで来たドライバーが転機をもたらす。彼の一言を受け、木の屋石巻水産は復活へと大きく舵をきりなおす。

つづく(1/3回)

※記事初出:『東北まぐ1号』(2011年8月配信)
2011年8月の配信開始以来、震災以降の東北に生きる人たちの生の声を、毎月11日にお届けしているオフィシャルメールマガジン『東北まぐ』。当連載『東北まぐCLASSIC』では、過去に配信された『東北まぐ』にて掲載された記事を、そのままご紹介します。そのため、記事の内容が現在の状況と異なっている場合がありますが、その旨ご了承下さい。
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