ストーリーが決まっているような、完結が予定された話をする時は、その話をできるだけ綺麗に終わりたいでしょうから、結論やオチが用意されているほうが、聞き手は満足するでしょう。
でも、考えてみてください。完結する話をする時に、即興で、オチを言うでしょうか?
ネタとして練り上げられた話には、オチとでも言うべき話の終わり方が用意されているものですが、それは人との会話で、何度も話されるなかで、熟成されていったり、あるいは、話を面白くすることが得意な誰かが、考えたことだったりします。
本来、オチとは、完成度の高さが求められるものなのです。
かといって、即興でオチを言うのをやめよう、とは言いません。
私が観察していると、即興で飛び出したオチは、会話などの流れのなかでは、「たたき台」になります。
そして、その流れの中で、他の誰かが効果的な発言をしたり、本人がさらに言い直したりした時に、そのオチの、さらなる着地点が生まれることが多いです。
「話が練られる」というのは、こういうことです。
ですから、即興でオチを言ってみることが無意味なわけではないと思いますが、オチのない話が悪というわけでもないんですね。
日常会話や連続性のある話の中で、オチを言わなくてはいけない、始めからオチを考えておかなくてはいけない、と思うのは、ただの思いこみなのです。
ただし。むしろ、こちらのほうが重要なのですが、オチがない話をした時に、
「そんだけかよ!」
とツッコまれてしまう、理由はしっかり考えたほうがいいでしょう。
それは、話が中途半端で物足りないからです。
では、オチがなくて物足りない話し方を改善するには、どういう点に気をつければ良いのか?
これについては、次回、考えていきましょう。
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メルマガ『話し方を磨く刺激的なひと言』
著者/熊谷章洋
アナウンサー歴26年の著者が、実体験でしか知り得ない「話し方のコツ」を、理論化。滑舌、緊張、発声発音、会話、説明、講演講義、プレゼン、自己紹介自己アピール、セールス、ビジネス、面接、ナレーション、話の構成、人としての魅力…人前で話すあらゆるシーンに役立つプロの技をお伝えします。
名古屋大学法学部卒。元・中部日本放送(CBC)アナウンサー。フリーアナウンサーとして東京で独立後、日本テレビ・ズームイン!!朝、ズームイン!!SUPER・中継キャスターNHKサタデースポーツナレーションほか、出演多数。消費生活アドバイザー/フードコーディネーター/ワインエキスパート/潜水士+ダイビングCカード