ここにきて中国3大都市が謎の「バブル」。不動産市場の最後の狂乱か

 

その結果、各大都会の不動産価格が急騰し、往時の不動産市場の「繁栄」が再びよみがえったのである。もちろんそれは、実体経済の沈没を食い止めるために、あるいは単に実体経済の沈没を覆い隠すために、中国政府が行った「カンフル剤注射」の結果にすぎない。いわば不動産市場の官製バブル」そのものであった。

もちろんバブルがバブルである以上、それはいずれはじける以外にない。3月下旬になると、「一線都市」での不動産価格のあまりの暴騰ぶりに恐怖感を覚えた中国政府が一転して、住宅ローンの頭金比率の引き上げなどを中心とした「抑制策」を実施し始めた。

その結果、4月24日までの1カ月間において、深センの新規分譲住宅の成約件数は前月比で半減した。北京、上海でも数割減となったから、価格が再び下落に転じていくのはもはや時間の問題である。中国政府の手によって作り出された「不動産官製バブル」は同じ中国政府の手によって引導を渡される見通しだ。

在野の著名な経済学者、馬光遠氏が「不動産市場の最後の狂乱」と称した今春の中国不動産バブルはこのように春の終焉と同時に破滅していく運命にあろう。

問題は、「最後の狂乱」が収まった後、中国政府は一体どうするのかだ。昨年の「官製株バブル」の破綻に続いて、今年の「官製不動産バブル」もはじければ、習近平政権にもはや、中国経済を垂死から救い出す手は何も残されていないのではないか。

image by: TonyV3112 / Shutterstock.com

 

石平(せきへい)のチャイナウォッチ
誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考。来日20年。満を持して日本に帰化した石平(せきへい)が、日本人が、知っているようで本当は知らない中国の真相に迫る。
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