NHK大河ドラマ『真田丸』を放送直後にワンポイント解説する人気連載シリーズ。今回は「秀吉が京都と大阪にたくさんの城を建てたワケ」について。一夜で築いた城もあるというほど、秀吉は実に多くの城を建てました。しかし、そこには天下をとった秀吉らしい「戦略家」としてのいくつもの理由が隠されていたのです。
今回のワンポイント解説(5月15日)
天下人への道を歩む秀吉は、京・大坂地区に山崎城・大坂城・聚楽第・淀城・伏見城と、次々と城を築いていった。なぜ、そんなにもたくさんの城が必要だったのだろう?
清洲会議ののち秀吉はまず、京と大坂の中間点に山崎城を築く。秀吉がもともと本拠にしていた長浜城は、清洲会議によって柴田勝家に割譲してしまったし、姫路城は織田軍の部将として対毛利戦線の作戦基地として使っていた城だ。信長死後の後継体制で主導権を保つために、敵に攻められても自力で持ちこたえられるような山城を、織田家勢力圏の中心に構えたかったのだ。
賤ヶ岳合戦で柴田勝家を滅ぼしたのち、新たな本拠として選んだのが大坂だった。京周辺での軍事的優勢を確保した状況を踏まえて、広域的な戦略を視野に入れた軍事基地が欲しくなったからだ。一大経済都市である大坂は、大量の物資・人員の集散地になる。
次に、関白任官したことにより築いたのが聚楽第。公家政権のトップである関白として、政治や儀式を行う邸(やしき=第)が京都に必要になったのだ。武家の棟梁である秀吉は、この邸を城構えに造った。明智光秀のような不埒者が現れても、自分の命と権力を失わないためである。とはいえ、聚楽第はあくまで邸(やしき)だから、構えはいくら城っぽくても、大坂城のような軍事基地としての機能はもっていない。
こうして、羽柴(豊臣)軍の戦略基地としての大坂城と、首都である京を結ぶ交通路を確保するために繋ぎの城が必要になり、秀吉はそこに側室を住まわせることにした。淀城だ。さらに、のちに伏見城を築くことになるのだが、これについては、いずれ機会を改めて解説しよう。
戦略的状況に応じて、必要な場所に必要な機能をもった軍事施設を造る、というのが戦国時代における築城だ。秀吉も、この原理にのっとって必要な城をその都度、築いていったことがわかる。決して築城マニアだったわけでも、公共工事大好き政治家だったわけでもなく、自分が置かれた状況に的確に対応していったにすぎないことがわかるだろう。(西股総生)
《今週のワンポイントイラスト》
上洛早々家康の配下に組み込まれ凹んだ昌幸、しばらく大人しくなるかと思ったけど…懲りずに城攻めの算段中。(みかめ)
文・絵/TEAM ナワバリング(西股総生・みかめゆきよみ)
ナワバリスト(城郭研究家)の西股総生率いる、お城(主に山の城)と縄張りを愛する3人組
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今週の『真田丸』SNS反応【編集部まとめ】
「武具の蔵です」で、秀吉は蔵に行ったのは茶々の我が儘だったと理解したのだろうな(源次郎は嘘はついたが自分を裏切ったわけじゃない、とも)。同時に、茶々に対してどれだけの想いを抱いているのか伝わってないのがわかってしまって言葉が溢れたように見えた。寧に言われたからではなく。 #真田丸
— まゆき (@mayuki_ogu) 2016年5月15日
ヤマブキの花言葉を調べてみたら「気品」「崇高」「待ち焦がれる」「金運」の4つ。そして、結ばれ得ない恋人同士がお互いの顔を写した鏡を埋めたところからヤマブキの花が咲いたという伝説から「オモカゲグサ(面影草)」、または「カガミグサ(鏡草)」と呼ばれる別名があるという。 #真田丸
— しみず さるひこ (@bub_shimizu) 2016年5月15日
正直豊臣家の人々は誰一人幸せそうじゃないのがずっと継続しているのが凄い #真田丸
— まとめ管理人 (@1059kanri) 2016年5月15日
頭を下げる茶々の前に座る北政所。あの笑み。田舎育ちで明るくおおらか、秀吉とともに天下を駆け上った「懐深い女性」の本音を垣間見てしまった。心底から震え上がったよね… #真田丸
— ぬえ (@yosinotennin) 2016年5月15日
【真田丸第19話まとめ】
・先発ホーホケキョ
・本妻に愛人の口説き方を相談する関白
・城を観たら攻めることしか考えないパパン
・ライダー1号の目にも涙
・ありえない婚姻のBGM
・まさに言霊のような伏線を残した茶々
・有働アナのネタバレの殺傷力 #真田丸— ういんがー【休業中】 (@wingar0001) 2016年5月15日
ここで茶々が北政所にお目見えするのは、側室は立場的には「正妻の家来」だからです。 #真田丸
— まとめ管理人 (@1059kanri) 2016年5月15日
ヤバイ、このシーン心の底から震えた。
実際起きたことを知っていても、それを上手く逆手に取って、これだけ『これぞ、ドラマ!』っていうシチュエーションと台詞を作れる脚本家が居るのだね。
やっぱ凄いわ。#真田丸 pic.twitter.com/YDOR114NYD— けろかず(ただの蛙丸) (@kerokazu) 2016年5月15日
この「信じておったのに」がね…。もしかしたらこの大河において初めて秀吉が本音をぼろっと洩らした台詞なんじゃないかと思えてね…。 #真田丸
— 高枝景水@若旅コミック乱連載中 (@namazudou) 2016年5月15日
いろいろ振り回されっぱなしの信繁と信幸。ちょっと災難⁈
そして相変わらずヒドイ昌幸パパ…
ブレなさすぎる治部殿もイカす。(^。^)#真田丸 #丸絵 pic.twitter.com/hWUhhTSMfs— あきお (@nabeakio) 2016年5月15日
源次郎の現状 #真田丸 pic.twitter.com/sjVmXJdg1e
— 神無月久音 (@k_hisane) 2016年5月15日
昌幸「源三郎、ここは泣いてくれ」
信幸「毎週泣かされている気がしますが」
#真田丸— いが(たろに) (@iga_iganao) 2016年5月15日
大阪城や駿府城を攻めようという真田昌幸の姿が、今や時代遅れで滑稽な姿に見えてしまうこの描写はすごいなあ #真田丸
— まとめ管理人 (@1059kanri) 2016年5月15日
「大名でもない父上」から「小大名に過ぎぬ父上」にレベルアップ! #真田丸
— 汀こるもの@レベル97 (@korumono) 2016年5月15日
今週の信繁と茶々を見る限り、秀吉の事がなかったらふたりはガチで好き合ってたんだと思う。必死にブレーキかけてたというか。信繁は当然殺されたくないからだけど、茶々はこう…無意識に自分をさらってくれる男と一緒に破滅したいみたいな雰囲気を感じた。一緒に死のうね発言から。#真田丸
— 夏海ケイ@オコノミミ配信&再掲載中 (@sirius1810405) 2016年5月15日
「全員が魅力的なクソ野郎」もう真田丸の評価はこれで決まりになりそう。 #真田丸
— 猫柳墓場 (@NM_amida) 2016年5月15日
あの山吹の花一輪のくだりは「実りのないもの」「何も贈れない境遇(=道灌の逸話)」で、最後に押し花を渡して「貴方はまたここに戻ってくる、そして私と同じ日に死ぬの」って台詞は、黄泉への道連れってことかしら。ぎゃー怖えぇー。<山吹=実らない花=黄泉の花 #真田丸
— ふじむら (@kana_fujimura04) 2016年5月15日
4月に大阪篇が始まったので、1クールごとの章だてだとして、6月末に秀吉が死んで7月から関ヶ原篇、9月末には親子が九度山に送り込まれて、10月から大阪の陣篇かな? #真田丸
— 関根昭博 (@Sekinedesu) 2016年5月15日
決して入ってはならぬと言われた蔵がある城(青ひげか)「この血はどんな人の血?どんな人の体の中を…」茶々の科白がすべてホラー。美しいものだけに囲まれて生きてほしかった…という秀吉の茶々への危うい想い。「そして私たちは同じ日に死ぬの」呪い完成で今日はまじ本当は怖いグリム童話。#真田丸
— いやしの本棚 (@ayagonmail) 2016年5月15日
軍師官兵衛の時の秀吉は「助けると約束したのに反故にする」的な卑怯な面への恐ろしさがあったが、真田丸の秀吉は「不興を被って消されてしまう」的な独裁者の恐ろしさがあると思う#真田丸 #大河ドラマ
— n_na(えぬ) (@n_na6) 2016年5月15日
来週から秀吉ぶっ壊れモードということなので、秀吉の心理描写にはかなり期待。始皇帝とかもそうだけどこういう系の支配者はどうしても幼稚な思想というか勧善懲悪での悪役のように描かれるだけで上手く実際ありそうな内面の葛藤を表現してる作品は少ない。 #真田丸
— 柚子歴 (@yuzureki) 2016年5月15日
「お前が死ぬときは日の本一幸せな女子だったと言わせてみせる」
あ~言われてみたい #真田丸— しょーちゃん (@sakinami32) 2016年5月15日
茶々は最期の時、誰に対して「日ノ本一幸せだった。」と言うのだろう…。#真田丸
— たこたこ (@u_rio_n) 2016年5月15日