瀕死の「メガネスーパー」が上場廃止目前に起こした奇跡の黒字化

瀕死の「メガネスーパー」が上場廃止目前に起こした奇跡の黒字化
 

「アイケア」という「コト」に注目した

同社は「目から元気に!」をコンセプトに、眼の健康寿命に配慮したアドバイスや、視力検査やフィッティングといった「アイケアを重視したサービスの提供に注力してきました。

近年に広がりを見せていた低価格専門店の台頭による販売単価の下落やコンタクトレンズの普及によりメガネ市場は縮小傾向にありましたが、一方で、高齢化の進展による老眼鏡市場の拡大やマルチメディアの普及に伴う近視用メガネ需要の拡大という市場機会が顕在化していました。同社はこの市場機会に焦点を絞るために、「アイケア」を重要視するようになったのです。

「アイケア」はコンサルティング技術や丁寧な接客が不可欠です。問診スキルの向上やメガネに起因する眼の負担を軽減させるアドバイスの提供、加齢対応型の検査の拡充といったことが必要です。また、専門的な知識を顧客に的確に分かりやすく伝えることも必要です。同社はそのための従業員研修などには積極的に投資を行ってきました。

「アイケア」を強化するために、2014年10月に「アイケア研究所」を立ち上げました。有識者や企業と提携し、眼の健康寿命を延ばすための解決策の研究や商品・サービスの開発を行っています。

15年3月には「アイケアを重視した新業態店舗DOCK」をオープンしました。店舗レイアウトやコンサルティング等の接客を徹底的に見直しています。

同社はメガネという「モノ」を直接的に提供することよりも、「アイケア」を通じてメガネ着用における快適なライフスタイルを提案するという「コト」の提供に注力してきました。メガネという「モノ」は飽和していましたが、「アイケア」という「コト」は開拓の余地が十分にある分野となっていたのです。そのため、同社の「アイケア」重視の方針は、大きな差別化となりました。

メガネスーパーは、「コト」を提供することによる差別化の実現と地道な施策が功を奏し、増収増益と黒字への転換を実現させることに成功したといえそうです。

image by: Wikimedia Commons

 

店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業
著者/佐藤昌司
東京MXテレビ『バラいろダンディ』に出演、東洋経済オンライン『マクドナルドができていない「基本中の基本」』を寄稿、テレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!スペシャル「並ぶ場所にはワケがある!行列からニッポンが見えるSP」』を監修した、店舗経営コンサルタント・佐藤昌司が発行するメルマガです。店舗経営や商売、ビジネスなどに役立つ情報を配信しています。
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