作家・中村うさぎさんのメルマガ『中村うさぎの死ぬまでに伝えたい話』。今回は、うさぎさんの日頃から抱えていた怒りが爆発!ことの発端は約半年前、タレント梨花さんが「イクラご飯」を朝ご飯に食べたとインスタグラムに投稿。その際に「質素な朝ごはん好き」と書いたことから「これは質素じゃない!」との批判コメントが殺到したという騒動に始まります。これに対し、うさぎさんは…?
「快・不快」を「善悪」にすり替えるな
半年くらい前の話になるけど、タレントの梨花が「イクラご飯」を「質素」と言ったことで炎上したって話ね、あれ、本当に気持ち悪かった。
経済観念とかそういうの、人それぞれなんだから、「へぇ~、イクラが質素なんだ。金持ちは違うね」でいいじゃんか。
なんでそんなに怒るのか、意味わからん。
世界中の人間が同じ経済観念を共有してなきゃいけないわけ?
世の中ってのはね、もともと不均衡なものなんだよ。
富める者もいれば貧しい者もいる、幸運な者もいれば不運な者もいる、美しい者もいれば醜い者もいる・・・。そんなの当たり前でしょ?
その格差に文句言ったって仕方ないし、金持ちの経済観念をギャーギャー非難するなんて、そんなのただの嫉妬じゃん。
恥ずかしくないのかね。
梨花は政治家でも何でもないんだよ。
庶民の経済感覚なんて知らなくてもべつにいいじゃん。
自分の経済レベルに見合った感覚で暮らす自由はあるはずだ。
朝ごはんにイクラ食べようがキャビア食べようが、それを質素だと感じてようが、誰にも迷惑かけてないしさ。
それに嫉妬してプンプン怒ってる気持ちはわかるけど、問題は彼ら彼女らが自分の怒りを「嫉妬」と気づいてないことだ。
世間の代表みたいな気分で正義の側から発言してる気になってる、その愚鈍さにウンザリする。
正直に「悔し───っ!」って言えよ、そんならまだかわいいぜ。
こういう人たちってさ、テレビで貧乏家族なんか特集してめっちゃ質素な食卓を囲んでるシーンとか見たら「ああ、頑張ってて偉い~」なーんて上から目線で喜んじゃうんだろうな。
無自覚な嫉妬を垂れ流す人間は、己の優越感にも鈍感だから、「一杯のかけそば(←古い!)」みたいな話が大好きだ。