3名の尊い命が失われた調布市の小型飛行機墜落事故。その原因について様々な報道がなされていますが、作家で航空技術協会会員でもある大石英司さんはメルマガ『日刊 大石英司の代替空港』で、「現状では」と前置きした上で「機械的な問題ではないのでは」と推測します。
パイロットの操縦ミスなのか?
●墜落の小型機はどう飛んだのか
●小型機墜落事故 機長の判断ミスの見方を示す専門家も
「気温がすごく高い、滑走路の状態は40度くらい。そういった中で、5人を乗せて重量が重い。この2つだけで、厳しい離陸になる。
パイロット視点だと、当然こういう疑問が真っ先に来るんですね。ギア・アップしなかったのはもうそれ所じゃなかったのでしょう(ギア・アップの動力を確保できなかった可能性もあるけれど、あのクラスの小型機のギア・アップの動力って何だろう)。
最後に禁じ手のノーズアップしたのは、住宅地への墜落を避けようと、反射的に行ったことですね。
で、滑走中の動画を見ると、明らかに速度が足りていない。本来なら、V1以前に、これは変だぞ? と滑走中止すべきレベルのスピードで、なぜその判断が出来なかったのか疑問です。恐らくコーパイが乗っていたら、間違いなく、離陸中止を宣言していたことでしょう。
そこで問題になるのは、機械的なエンジン・トラブルがあったのか? 激突直前に爆発音を聞いたという証言もあるけれど、機長があの状態ながらローテーションしてしまったことの理由としては、恐らくパイロットの感覚としては、滑走中にパワーが出ない、機体が妙に重たいけれど、特にトラブルというほどのことは感じなかった。気温が高いからこんなものかなと思った程度。つまりエンジンは明らかに出力不足だったけれど、それは機械的なトラブルではなく、離陸前のパイロットの不作為が結果として、エンジンの出力不足を招いた、と現役のパイロットの皆さんは考えているということでしょう。
現状としては私も、エンジンは正常では無かったけれども、それは機械的な問題では無く、この高温下ですべき離陸前チェックに何らかのミスがあって、それがエンジンの出力不足を招いたのでは? という印象を持ちます。
image by: Wikimedia Commons
『日刊 大石英司の代替空港』2015.7.28号より一部抜粋
著者/大石英司
作家、鹿児島県出身、川崎市高津区在住。国内外の注目ニュースに関して alternative な視点を提供するメルマガはビジネスマンなら必読です。
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