歴史を知れば見えてくる。年金はなぜ、今の金額に決められたのか

 

年金というのは世代間の合意に基づき、現役世代が老齢世代を社会的に扶養する仕組みであって、それは将来に確実に引き継ぐには、年金水準は現役世代の賃金とバランスのとれたものじゃないといけないんですね。もっと年金欲しいからって、それを負担する現役世代の負担能力を超えるような事をしたら均衡が保たれなくなって、制度が安定しなくなっちゃうんです。

だから、厚生年金は生年月日により20年かけて、国民年金は15年かけて引き下げて、将来40年労働になっても年金水準は現役時代の68%程度に納まる形になった。これにより厚生年金保険料率は38.8%から28.9%にとどまる事とされました。当時は保険料負担は30%までに抑えるというのが暗黙の了解でした。

とはいえ、少子高齢化は急激に進行していき歯止めが利かず、昭和55年に年金支給開始年齢を上げないとマズい!! って当時の厚生省言ってんのに、昭和55年改正、昭和60年改正の時と平成元年改正の時も見送られてしまった。3回も見送り

でもやっと平成6年改正の時に厚生年金支給開始年齢(一階部分である定額部分という年金)の60歳から65歳までの引き上げが決まり、これでなんとか現役世代の負担限度とされていた厚生年金保険料も30%以内の29.8%で国民年金保険料も2万1,700円までには抑えられる事になった。

年金支給開始年齢は男子は平成13年から平成25年にかけて、女子は平成18年から平成30年にかけて65歳に引き上げていく。

厚生年金支給開始年齢(日本年金機構)
どうして男女で厚生年金支給開始年齢が5年異なるのか?(参考メルマガ記事)

ところが、平成4年の人口将来推計では高齢化率だとピークが28%くらいだったはずが平成9年推計では32%に上がって、少子化もさらに進行する見通しとなりました。これにより、厚生年金保険料ピークがくる平成37年に34.5%になり国民年金保険料は2万6,400円になる事になり、とてもじゃないけど負担できる保険料ではなくなった。今現在の平成29年現在でも保険料高すぎ!! って言われてますが、あの頃のやり方をしてたらそれどころではなかったんです(^^;;

で、平成9年、平成10年に金融危機というのが起きて、沢山の企業や主要な金融機関が破綻していった。そして、毎回毎回、将来の年金と保険料を再計算するたびにコロコロ変わるし、年金払っても貰えるかどうかわからないという、年金に対する不安がますます高まってしまった。平成10年の時に未納者や滞納者が300万人を超えてしまった

また、この金融危機の影響で厚生年金年金保険料は平成8年10月から平成16年10月まで引き上げずに凍結させ、国民年金保険料も平成10年4月から平成17年10月まで凍結させてしまって本来取るべき保険料を取らずに、更に将来世代に負担のツケを回す結果になってしまった。

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