歴史を知れば見えてくる。年金はなぜ、今の金額に決められたのか

 

金融危機以降は企業も、保険料負担は30%以内どころか20%以内が限界という声が多くなり、20%以内に抑えるために、平成12年改正で厚生年金給付水準を5%カット(5%適正化と呼ばれる)して、更に厚生年金支給開始年齢(2階部分の報酬比例部分)を60歳から65歳に引き上げた。男子は平成25年から平成37年にかけて、女子は平成30年から平成42年にかけて65歳まで段階的に引き上げ。

これで、将来の年金を20%削減すると共に、年収比に対して保険料も20%以内の19.8%に収まり、国民年金保険料も2万4,800円(国庫負担を2分の1にすれば1万8,200円)に抑える事になった。

その後、平成14年の人口将来推計が出た時に、平成9年の推計で出した高齢化率が32%から35%に上がり少子化は1.6から1.3に下がる見通しとなり平成12年に将来の保険料ピーク時20%以内に抑えたはずの厚生年金保険料や国民年金保険料も上がる事になってしまった。

今現在の高齢化率は27.3%で、合計特殊出生率は1.46。まあ、2060年頃には65歳以上の高齢化率は40%になってそれで推移していく見通しなんですけどね(^^;;

だから、平成16年改正の時に、保険料の上限を決めて固定した(厚生年金保険料は18.3%で国民年金保険料は1万6,900円×保険料改定率)。そして、それまで現役時代の60%台の年金を50%ちょいくらいに持っていく事にした。

なぜ50%以上にしたかというと、生活の基盤となる年金は最低でも現役時代の50%以上はなければならないという考えから。そして導き出された保険料は18.3%が50%をなんとか上回れる保険料率とされたから。

今まで、現役時代の賃金の60%台の年金は確保する為にその度に保険料を上げるというやり方から、あらかじめ収入上限(保険料上限)を決めて年金額を確保するというやり方に180°転換したわけです。

というわけで、収入の上限を固定しちゃったから今までの給付水準60%台のままっていうわけにはいかないですよね。だから、物価や賃金が上がった時は、年金はそれよりも上げ幅を下げて、簡単にいうと現役世代の賃金の上げ幅と年金額の上げ幅の差を広げて現役世代の賃金に対して年金額の割合は50%ちょいに持っていくというマクロ経済スライド調整というのが導入されました。

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