「アニメに描かれた未来」を16年前に考察。何が実現していたか?

2017.03.31
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スマホやAIなどの技術が発展した今、一昔前までは「アニメの中の近未来」でしか存在しなかったものが実現している例は少なくありません。アニメ・特撮研究家で明治大学客員教授の氷川竜介さんは、まぐまぐの新サービス「mine」で無料公開中の、氷川さんの記事の中で、「アニメの描いた未来予測」と「実現化」のギャップを紹介。この記事は16年前の2001年に書かれたものですが、実現すると予測されていたものが現在いくつも当たっていることに驚きます。何が実現化できて、何ができなかったのか? 今後、数回にわけて同シリーズの原稿をご紹介します。

※以下は2001年11月に書かれた原稿です。

パソコンを新調し、回線も常時接続を活かして、いろいろ探していたら「インターネットラジオ」にハマってしまいました。米国をはじめとする全世界のラジオ局から配信されている放送で、ジャズ専門、ヒットチャート専門などあるのがうれしいです。某国にはアニメ専門局があって、ずっと日本語の歌がかかっていたりしてビックリ。世界中の電波が一気に集まってきたみたいなイメージで、妙にうれしいです。

アニメで描いた未来と現実のギャップ

21世紀最初の年も早いもので、もう終わり。やがて新しい年が明けます。

2001年と言えば、かつては未来の代表イメージの特別な年だっただけに、それが過去になっていくのは寂しい気持ちもあります。な~んて、ネガティブなことだけでは面白くないですよね。そこで、これをきっかけに「アニメの描いた未来」について、少々考えてみたいと思います。

アニメで描かれた未来と現在──それには当然ギャップがあります。でも、ハズしていることや時代錯誤感を笑うだけではもったいないですよね。「未来予測」というものを通じて、何か新しいものが見えてくる、そう思った方が楽しみが広がりそうです。予測と現実の差から、現在も逆照射されて意外な実像をさらすかもしれませんし、2002年から発信する新たな未来像も、あんがいそういった行為の中から見えてくるかもしれませんね。

さて、90年代前半くらいまでのSFアニメ、特にリアルっぽさをどこかに持った未来世界の作品を今の目で見ると、妙な違和感が漂っていることに気づきます。その未来には、「携帯電話」も「Eメール」もないからです。

20世紀も終わりに近い90年代の後半からの数年間。暮らしが変化していくなかで、一番激しい変革は「通信」の世界だったのではないでしょうか。ことにインターネットの発達と携帯電話の普及はめざましいものでした。同時発達したこの2つが融合したiモードのようなものが、現在進行形でまた新しいステージを切り開く──いまはそういう時代です。

筆者は18年ほど通信の技術者として電話機やISDN機器、携帯電話用TAを自分で設計していたこともある人間でして、ちょっとそういう珍しい視点も交えて、アニメの描いた未来通信の話をしてみましょう。

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