「アニメに描かれた未来」を16年前に考察。何が実現していたか?

2017.03.31
 

『マクロス』に登場する「未来の電話」

1982年、アニメ史に残るヒット作が誕生しました。『超時空要塞マクロス』です。続編が何本もつくられ、ごく最近でも、現実の航空機の模型メーカーとして名高いハセガワが、初めて架空世界のキャラクターものに参入するにあたって、マクロスに登場した戦闘機バルキリーを採用しました。この事例が示すように、ある意味でリアルな世界観を大事にしたロボットアニメです。

1999年に宇宙から落下してきた異星人の宇宙船マクロスを、人類が改造したことで、全宇宙をめぐる大戦争に巻き込まれる。その中で、三角関係のラブコメが演じられて、歌が宇宙を救う──という、百文字程度で書くとなんだかさっぱりわからない物語だったりしますが(笑)、その舞台は2009年。意外と今から近くなってしまいました。

ここで『マクロス』に登場する「電話」に、ちょっと注目してみましょう。一見して判る不自然さは、どこにあるでしょうか。そう、送受話器──ハンドセットにコードがついていることですね。このコードのことは専門用語でカールコードと言います。伸縮できるようラセン状にカールしているから、そう呼ばれてます。

現在、大半の家庭用電話機はコードレス電話機になっています。だから未来な感じを出すならハンドセットはコードレスではないのか?

というところに起因する違和感ですが、実は『マクロス』の中でも、場面によってはコードレス電話になったものも登場します。ところが──それはそれで、また違和感があったりします。どうもハンドセットだけがコードレスになったものらしく、ダイヤルがついていないのです。実はこういったコードレス電話機もあるのです。この種のものは「カールコードレス」と言います。

もちろん、コードレス電話機自体の発想は古くは60年代くらいからあって、70年大阪万博でも電気通信館で試作品が展示されていました。筆者はそれを見ようと駆けだして転んで骨折、生まれて初めて救急車で運ばれるという経験をしたので(笑)、忘れようがありません。

『マクロス』の時期は、それからだいぶ経っていますが、表現としてはコードのある電話機を使っていたわけです。未来を感じさせるはずのデザインが、コードで台無しになってしまった──と言ってしまうのは簡単ですが、果たしてそう単純なのでしょうか?

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