【書評】ピンピンコロリは遠い夢。死なせてもらえぬ老人たち

 

延命治療を施している医師や看護師でも、自分が終末期に至ったとき、自分が行っているような治療を受けたいと思う人は皆無であろう。にもかわらず、超高齢の患者にも濃厚な医療が続けられている。患者が終末期に直面したとき、本人の意思よりも家族の意向が強く働く傾向が、日本人には根強くある。

「延命を望まない」という親の意思を尊重したいと考える子と、「まだ医療によって生きられる可能性がある」と考える子がいる。後者の立場や主張が強いときは本人の意思に反して、本人の望まない延命治療を施され寝たきり老人になり、家族間にも大きな亀裂が残る。こんな人生の終わり方はつらすぎる。

本人の意思を尊重するのが「尊厳死」である。人の不治かつ末期に際して、自己決定をして自分の死に方、延命措置の不開始または中止を求めた自然死のことをいう(安楽死とは違う)。けっこうなことだと思うが、尊厳死法案の成立を妨げるのは障害者団体の反対である。また日本医師会も現時点では法制化は不要という見解だという。法制化は難しいが、自分で意思表示すればよい

終末期にどういう治療を受けたいか(受けたくないか)という意思・希望を記したものがリビング・ウィルである。ネットにはサンプルがいくつもある。それを参考に、自分で作成すればいいだけだ。その存在と内容を近親者にきちんと伝える必要がある。とっくに知っていた。「死ねない老人」のタイトルはイカスが(笑)とくに新しい知見を得られたわけではない。いつもの幻冬舎だった。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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