年金が「最低10年加入に短縮」で油断していると、痛い目に遭う

 

じゃあ、もしこの男性の未納期間57ヶ月がせめて国民年金保険料免除期間やカラ期間だったらどうなるのか。この場合は全体で25年以上(300ヶ月以上)ある人の死亡になるから遺族厚生年金も支給される事になります。で、再婚等しない限り基本的には終身で支払われる

遺族厚生年金額→(300,000円÷1000×7.125×101ヶ月+400,000円÷1000×5.481×139ヶ月)÷4×3=(215,888円+304,744円)÷4×3=520,632円÷4×3=390,474円

厚生年金額を計算する際にいつも使ってる7.125とか5.481っていう数字は何?(参考記事)

さっきの遺族基礎年金1,003,600円と合わせると1,394,074円月額116,172円)になる。そして、子供が18歳年度末を迎えた後は1,003,600円は無くなり、遺族厚生年金390,474円(月額32,539円)のみになりますが、この死亡した夫にギリギリ240ヶ月(20年)の厚生年金期間があったので、遺族基礎年金が子供が18歳年度末を迎えた時点で妻が40歳以上(子供が居ない場合は夫死亡時点で妻が40歳以上である事)という条件を満たしている為に、遺族厚生年金にオマケで584,500円の加算が付く。この584,500円は定額で、中高齢寡婦加算という。夫に20年以上の厚生年金期間が無かったらこの加算は付かなかった。

よって、遺族基礎年金1,003,600円が消滅した後は、この妻には遺族厚生年金390,474円+中高齢寡婦加算584,500円=974,974円月額81,247円)となる。中高齢寡婦加算の支給は妻が65歳になるまで。65歳以降は中高齢寡婦加算は消滅しますが、妻自身の老齢基礎年金が支給され始めるからそれまでの加算と考えてもらえれば。

なお、65歳以降の老齢基礎年金と遺族厚生年金は一緒に貰う事が可能ですが、妻に老齢厚生年金が支給される場合は遺族厚生年金から老齢厚生年金分が停止されてしまう。例えば妻に100,000円の老齢厚生年金が支給されるなら遺族厚生年金390,474円から100,000円を引いた差額の290,474円が遺族厚生年金として支給されるという形になります。

というわけで、今月から年金受給資格期間10年に短縮で安心してたら老後の年金が物凄く低額になるだけでなく、思わぬ不利益が生じかねない場合もあるので安易な未納は避けてくださいね~。

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佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
年金は国民全員に直結するテーマにもかかわらず、とても難解でわかりにくい制度のためその内容や仕組みを一般の方々が学ぶ機会や知る機会がなかなかありません。
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【著者】 年金アドバイザーhiroki 【発行周期】 不定期配信

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