ここにも日台の絆。日本で終戦を迎えた「台湾少年工」達のその後

 

「皆さんは、恨みがましいことを一切言わない」

台湾高座会は「台湾亭」という台湾風のあずまやを工期4年、2,000万円の費用をかけて大和市の引地川公園の一角に建立し、平成9年10月22日に市に寄贈した。かつて、少年工6名が終戦直前に米軍機の銃弾に倒れた場所である。

将来、この公園を訪れる台湾人に対し、父や祖父の功績を偲ぶことができるように、また日本人に対しては、当時のことを忘れず、台湾との架け橋となるようにとの願いからである。

その引き渡し式のために来日した台湾高座会の代表40名に対して、野口さんは次のように挨拶をした。

当時の日本が、台湾少年工の皆さんにとって、感謝の対象であったとは私にはとても考えられません。それなのに皆さんは、恨みがましいことを一切言わない。逆に台湾の皆さんは、あのつらい体験をおのれの人生充実の糧として生きてこられた。

 

私はそれが今日の少年工の皆さんの、各分野における成功につながったと思います。台湾亭はそうした前向きの考え方、今でいうプラス思考の、堂々たる記念碑なのです。

 

人生にあの厳しい時代があり、それに耐えたからこそ今日の我々があるというこの考え方を、私たちは日本の若い青少年に知ってもらいたい。
(同上)

つらい日々に耐えた歴史を誇りに思い、それを糧として自分の人生に前向きに向かっていった元少年工たち。それを申し訳ないと思い、せめてもの償いにと慰霊碑を建て、靖国神社に祀る日本人の心。

歴史を偽造してまで賠償を求める他の近隣諸国とは望むべくもない、まごころの通い合いがここにある。

文責:伊勢雅臣

image by: 台湾高座会留日70周年歓迎大会実行委員会

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