ラーメンの幸楽苑が52店閉鎖へ。日高屋とどこで明暗が分かれたか?

 

幸楽苑は商品の価格設定でブレが生じたり異物混入問題が起こるなどで業績が悪化しています。

幸楽苑はかつて、看板メニューの「中華そばを390円(税抜き、以下同)で販売していました。その後、競争が激化したため、06年5月に100円値下げし290円で販売するようになりました。しかし、食材や人件費などが高騰し、利益を圧迫するようになったため、現在は一部の店舗を除き、「あっさり中華そば」を390円、「二代目醤油らーめん司」を490円で販売しています。

こうして価格を変えていきましたが、収益性は抜本的には改善しませんでした。また、幸楽苑のラーメンは安いのか高いのかがよくわからないというイメージが定着してしまいました。こういったこともあり、幸楽苑の競争力は弱まり、日高屋などの台頭などもあって、収益は頭打ち状態が続いているのです。

16年10月に発覚した異物混入問題も影を落としました。「幸楽苑 静岡インター店」で働いていたパート従業員がチャーシューの仕込み作業をしていた際に、誤って左手親指を切断してしまいました。さらに、指がチャーシューの保管容器に残ったままとなっていました。そのことに誰も気づかず、後日、気づかずに商品に指がまぎれ、そのまま客に提供してしまったのです。そのことが報道により広く知れ渡ることになりました。

これにより、16年10~12月の売上高と客数は大きく落ち込みました。特に問題発覚翌月の11月の落ち込みが激しく、客数は前年同月比13.7%減売上高は12.9%減と大きく減少しています。

幸楽苑は新井田司氏(現社長・新井田傳氏の父親)が1954年に福島県会津若松市に「味よし食堂」を開店したのが始まりです。当時は「らーめん」を35円で販売していたといいます。67年に「幸楽苑」に改称し、70年に株式会社幸楽苑に改組しています。

75年にラーメンと餃子を核としてチェーン展開することを決めました。79年に駐車場付きの郊外型店舗をオープンし、以後、郊外型店の出店を推し進めていきます。80年にはフランチャイズ事業に進出し、加盟店の1号店が福島県郡山市に誕生しました。

店舗数は徐々に増えていき、12年には国内500店舗を達成しています。しかし、その後は競争の激化や幸楽苑の競争力の低下もあり、店舗数は伸び悩んでいます。近年は500店台前半で推移し、停滞感が漂います

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