イチローではない我々は「ヒット数にこだわれば良い」と気づいた

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先日、事実上の「現役引退」を表明した、米マリナーズのイチロー選手。彼のような注目選手は常に「打率」に注目が集まりましたが、私たち「一般人」は世界から注目されていない分、ヒットを出した数にだけこだわればよい、と語るのは米国の邦字紙「WEEKLY Biz」CEOでメルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』の著者である高橋克明さん。かつて、ニューヨーカー相手に広告営業で毎日のように悪戦苦闘していた高橋さんが「凡人は打率より安打数」と気付いた理由を語っています。

求められるのは打率ではなく、安打数

渡米当初、今のメディア業界に入り込み、言葉もままならない時に、毎日ニューヨーカーたち相手に広告営業をしなきゃいけない生活をしていました。 日々、恥と失望の毎日。 それでも逃げ場所もなく、本場のニューヨーカーたちと英語で交渉する毎日。

それでも前述のように、やっとカタコト英語でなんとかやっていけるようになりました。

そんなある日、英語での交渉とは別に、ある圧倒的な事実に気がつきます。 とんでもなく自分を助ける有利な現実に。

プライベートでヤンキースタジアムに観戦しに行った時のことでした。

その年はメジャーリーグに挑戦したイチロー選手が初めてヤンキースタジアムで試合をする日でした。

メジャー1年目からMVPを獲るなどの歴史的な成功を収める中、彼は次の打席にヒットを打つか打たないかで、大きく打率が変わる状況でした。 スタジアムで観戦している時、どれだけのプレッシャーか、僕たち凡人には測りようがありません。

打席に立つイチロー選手をスタンドで眺めながら、彼は“打率”を求められているんだなぁという事実に気がつきます。 そう、安打数だけではなく、あくまで率、です。

何打席のうち、何本ヒットを打ったか。 イチロー選手に限らず、プロスポーツ選手に求められるのは、有限の中でどれだけの結果を出せるか、というあくまで“率”。

それに比べ、僕たち凡人は安打数という結果だけを出せばいい。 ヒットを量産するのに、何回だって打席に立てばいい。 ヒット数(成果)だけを報告すれば、打席数は特に報告しなくていい世界にいます。

もちろんビジネスマンの中にも、有限で大きなプロジェクトを任されたり、弁護士のように戦績を求められる人たちもいます。 でも、全米で放送され、MLB機構の公式記録がかかる中、5万人の大観衆に見守られ、150キロ以上の球速をヒットにさせるプレッシャーからは、やっぱりほど遠い。

つまり、世間に注目されていない僕たち一般人は、無限に挑戦できるわけです。

何度だって打席に立てばいい。 特に営業なんて何件だって飛び込めばいい。 コストはかからない。

ということは。

今の日本だと挑戦それ自体を評価し、美談にする傾向があるけれど、逆を言えば、節操なく成功するまで挑戦する権利が与えられている、ということでもあります。

「誰もおまえの打席数なんか注目しねえよ」─。 自分で自分にそう言い聞かせました。 打席数に注目してもらえるのは、一部のスーパースターのみ。 僕たちはヒットが出るまで何度でも打席に立つことができる。 そして、それは一般人の特権だ。

行動しないと(何度も打席に立たないと)、損だな、そう思いました。

image by: Frank Romeo / Shutterstock.com

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全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

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【著者】 高橋克明 【月額】 初月無料!月額586円(税込) 【発行周期】 毎週水曜日

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